天池(祖国訪問記23)
広告
朝5時に白頭山に登ったあと、一旦宿舎に戻り朝食をとって、10時ごろふたたび白頭山へ行った。どうしても白頭山の上にある天池に行きたかったからである。白頭山は過去2度訪れているが、天池に下りたことはなかった。
天気はいつのまにか快晴になり、天池がくっきりと見える。その姿の厳かなこと。天池の標高は2190メートル。天池まで階段が設置されている。前回登場した警備のユンさんによると、下りるのに30分、登るのに1時間かかると言う。段数を数えるのが馬鹿げたことに思えるほど長い階段だ。高低差は400メートルくらいだろうか。躊躇せずに下っていった。
約25分で天池に到着。天池から見上げる白頭山の峰々がまた絶景である。対岸は中国になる。靴と靴下を脱いで天池のなかに入る。なんという冷たさか。10秒もすると冷たさで足が痛くなってくる。少し口に含んで飲んでみた。じゃっかん甘い。案内のリさんが記念写真を撮ってあげると言ってくれる。天池に入っている姿を撮ることに。リさんは写真に造詣が深い。非常に構図にこだわる。ポーズをとって40秒が過ぎたころ、冷たさに我慢ができなくなり「はやく撮ってください」とお願いした。
そろそろ戻ろうというときに、持ってきていたミネラルウォーターのペットボトルの中身を棄てて、天池の水をいっぱいに入れた。「息子の土産にする」と言うと、リさんは笑っていた。
登りは思ったよりも辛かった。階段を登りきるのに50分。へとへとになり、その後、4日くらい筋肉痛に悩まされた。しかし、今度いつ来ることができるかわからない。ハラボジになってからでは到底登れそうもない。天候が抜群のときに天池とめぐりあえたことに感謝した。
将軍峰は朝登ったので、もういいかと思っていたが、リさんが「せっかく天気が良いのだから」と言うので、一緒に登る。中国東北部の広野が遠くまで視界に入ってくる。360度に広がる景色は何時間でも見ていたい気にさせる。妙香山、七宝山とそれぞれ素晴らしい山であるが、革命の聖山、白頭山はそれらとはまったく次元が違う。心と身体の奥底から民族の矜持がこみあげてくるのである。(k)