勲章(祖国訪問記・番外編8)
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朝鮮戦争勝利記念日の前日の7月26日、戦勝記念の公演が4.25文化会館で開かれた。出演したのは人民軍協奏団である。40日間の祖国訪問のなかで、いろんなものを見て聞いたが、この日の公演がもっとも印象深いものだったかもしれない。
最初の演目がタップダンスだった。最近の人民軍協奏団の公演を観ている人たちにとっては常識のようであるが、人民軍協奏団がタップダンスをするとは知らなかった。タップダンスの演目は2つあったが、どちらも革命的な内容にうまくタップダンスを取り入れていた。ダンサーが男も女もかっこういい。そして、朝鮮戦争当時の名曲が続く。男声重唱の「祖国防衛の歌」を聴いたときは、涙が出てきた。
会場には軍の関係者がたくさん来ていた。朝鮮戦争を戦った老闘士たちの姿も多い。全員、胸に勲章をつけている。筆者が数えたなかで一番多かった人は、29個の勲章をつけていた。上着のほとんどが勲章で埋まっているという感じである。会場にいる人たちの勲章をすべて合わせるといくつになるか想像もつかないが、その一つひとつに、「私たちは祖国を守ってきたんだ」という矜持が詰まっているのであろう。筆者も何個か勲章をいただいたが、まったく重みが違う。
公演で人気を博したのが、写真のギター4併唱(朝鮮中央通信)。見てのとおり4人がギターを弾きながら歌をうたう。これは今までになかったスタイルのようだ。他の出演者は1曲歌うと終わりであったが、このギター4併唱は続けて4曲も歌った。これから売り出していこうということなのだろうか。タップダンスといい、いろいろと新しい形の芸術を取り入れていることがよくわかった。
40日間の祖国訪問を振り返って、心残りなのは、映画を観ることができなかったことだ。訪問中に3本の新作が発表された。そのなかでも、「わたしが見た国」という日本人女性を主人公にした映画が面白そうであった。現在の朝米対決をテーマにしており、なぜ朝鮮は「超大国・アメリカ」に屈することなくわが道を歩むことができるのかを描いているそうである。テレビで放送された予告編を見たが、光明星2号の打ち上げ場面が出てくる。発射台の上からのアングルで、ドドドとロケットが飛ぶところがCGで再現されておりなかなかの迫力であった。日本でいつ観ることができるであろうか。
祖国訪問記と番外編あわせて36回に渡り、祖国訪問の様子を綴ってきましたが、今回で最終回となります。月刊イオの10月号でも祖国訪問に関しての文章を書くので読んでください。(k)