「お化け屋敷」
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昔、「お化け」と名がついているものが恐かった。
それは未知のモノであり、信頼できる大人さえも全部をよく知り得ないという事実があったから。
それでも好んで「お化け屋敷」にはよく入っていた。
少しでも「お化け」に対して免疫をつけたかったのかも知れない。
それとも、ただ無性に叫びたかったのかもしれない。
もうだいぶ昔のことなので、自分の感情なのにすっかりは思い出せない。
とにかく「お化け」は未知のモノで、未知であるがゆえに恐かった。
けれども、そこには魅力があった。
「お化け屋敷」も同じことで、その屋敷には訳の分からない、でもきっと危害を加えるものではない、少し恐くて未知のものが詰まっている屋敷だと思うと、ゾクゾクしながらもたまらなく入りたかったんだと思う。
最近、久しぶりに「お化け屋敷」に入ってみた。
子どもの時に比べると本当に恐いものは変わってきた現在、
あの頃とはちがった感覚で迎えられるのか試したかった。
音や照明、そして所々に散りばめられた怖さを満たすための小道具たち。
「お化け屋敷」は今の私にとっては、
ちょっとよくできたからくり屋敷だった。
でもそこに足を踏み入れる度、少しワクワクした。
ゾクゾクがワクワクに変わっていた。
子どもの頃の期待感とはまた違う意味で楽しんでいる自分がいた。
全てが作り物の世界だと知っていても、そこに何かを探そうと思えば、
子どもの時とはまた違う魅力を感じることができるということを新たに知ったお化け屋敷体験だった。(愛)