ビスコ
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会社の席の右後ろにカラーボックスがあり、その上には、お菓子がいろいろと入った缶が置かれている。イスを100度ほど回転させて手をのばせば、すぐにお菓子を食べることができるようになっている。しかし、けっして、わたしがそこに置かせているのではない。
お菓子は常に様々な種類のものが補充される。こちらの好みに合うものが入れてあるので、ついつい手が伸びてしまう。こちらのダイエットを妨害しようという陰謀なのかもしれない。
ある日の昼休み、いつものようにお菓子の缶のふたを開けて、中を物色していると、ビスコが出てきた。小学校の同窓生に突然、街角で出会ったような感じである。
当然、ビスコをチョイスした。
最後の1つであった。何個か入っていてその1個だけが食べられずに残っていたのか、最初から1つだけしか入っていなかったのか。そんなどうでもいいことを考えながら、袋を破ろうとしたが、思いとどまり、写真を撮った。その段階で、このブログの文章は、半分できあがったようなものである。
写真は幸い、1回のシャッターでそれなりのものが撮れた。急いで袋を破く。ビスコの箱はごくたまに見ることはあるが、口に入れるのは何十年ぶりである。
昔、ビスコをよく食べた。他の家庭もそうだったと思う。いまの子どももビスコをよく食べるのだろうか。少なくとも、うちでは子どもにビスコを食べさせたことはない。
味はすっかり忘れていたが、口の中に入れた瞬間、昔食べたときの記憶が蘇ってきた。本当に昔と同じ味なのか、メーカーが企業努力をしてものすごく美味しくなったのに、昔と同じ味だと昔を美化しているのか、よくわからない。
そんなことしか美化する昔をあまりもっていないということもある(k)