ハンメ
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関西地方に住むハルモニに会ってきた。
幼い頃から盆と正月に訪れていた街。小さい頃は東京を脱出してこの街に来るのが楽しみだったけれど、ここ数年は生活に追われ訪れる機会がなくなっていた。
10年前に祖父が亡くなってから一人暮らしになったハンメは、若い頃から大勢の家族たちを養うためにハルベとともに、はたおりをしながら一家を支えてきた。仕事場が「はたおり工場」だったせいか、声が大きい。おまけに口も悪いけれど、情に厚いハンメは初孫の私をよく世話してくれた。
ハンメには、社会人になってからもずっと世話になりっぱなしだった。関西に出張が入るたびに泊まりに行っていたが、どんなに朝が早くてもたくさんの朝食を作って送り出してくれたし、原稿書きの日には弁当を包んでくれたこともある。帰りが遅くなっても、必ず一声かけて、寝床に入っていた。
一方、文句や小言も多く、言われすぎたあまり、「馬の耳に念仏」状態でした。仕事柄、たくさんの心配と気苦労をさせたけれど、会って話をするだけで楽しく、そして、若い頃から一家を切り盛りするために苦労を重ねてきたハンメから、最近はたまに「今が一番自由で幸せ」という言葉を聞くと、心底「よかったなぁ」と思う。
学問の神様がいるという神社や、馴染み深い銭湯…。私にとってこの街はハンメの町。敬老の日には、東京から来たいとこや親戚でハンメを囲んでささやかなお祝いをした。
ハンメ、またこの街で会いましょう。(瑛)