夢
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人は寝ているときに夢を見るが、本当に不思議だと思う。
寝ているときに見る夢が好きだ。現実の世界ではあまり夢がないからかもしれない。とにかく夢を見るのが楽しみだ。
とくに、朝方、眠りと覚醒の中間のような状態で、これは夢だと自覚しながら見る夢が楽しい。
半分起きている頭で、夢の中の物語を自分の都合のいい方向に持っていこうとするのだが、それが思い通りにいかない、そのもどかしさがまたいい。
夜、布団に入って、いろいろと考え事をしているときに、その考え事が自分の予期せぬ方向にどんどん進んでいくことがある。そうすると、「あ、自分は今まさに眠りに入っていて、考え事が夢に変っているんだな」と思ったりする。
卒業して以来、1度も会ったことがなく1度も思い出したことがない、特に親しくもなかった同級生が、急に夢に登場することがある。なぜなんだろうか。脳の奥深くに沈んでいた記憶がどのようなきっかけで浮き上がってくるのだろうか。
夢は好きだが、夢にうなされる、ということもよくある。進めていることが思い通りにいかず、このままでは大変なことになる、と思って目が覚めると夢だったというパターンが多い。
夢にうなされても、起きたときに、夢で良かったと思えればいいのだが、完全に目を覚まし、現実の世界の現実は夢よりもっと大変な状態だという現実を思い知らされる場合もある。
普段の生活での出来事が夢に出てきてうなされるということは、自分では意識していないのに頭のどこかで心配し心を悩ませているということである。そんな夢を見るたびに、自分が自分で思っているよりも小心者であることに気づかされる。
ごくたまに、これは面白い!と思える夢があり(明け方、起きている頭の半分がこう判断する)、この話を小説にしよう!と、夢を見つつ思うのだが、完全に起きると、すぐに内容を忘れてしまう。黒澤明はたしか夢の内容を映画にしていた。何年も前の夢を覚えていて、その内容を話してくれる人がいるが、いつも羨ましく思う。
現実の世界では、具体的な目標を立てるか突拍子のない空想をするかのどちらかで、中途半端な夢は見なくなった。そんな年齢ではなくなったということであろう。(k)