介護問題
広告
昨年から東京にある介護業者を取材しているのですが、いろいろ考えさせられています。
2008年に「イオ世代の親問題」と題した特集を組んだ際、親や配偶者の健康問題や介護問題が深刻なのは40~50代という現実を知りました。「老々介護」という言葉がありますが、核家族化の時代、高齢者が高齢者を介護する、せざるをえない現実や、介護が女性に集中している現実も伝えました。
社会が介護を支えようと、介護保険制度が始まって10年になります。在日朝鮮人の場合、国民年金に国籍条項が設けられていたこともあり、無年金で暮らしているお年寄りも多く、介護保険料をどう捻出するかという問題があります。また、1世のお年寄りは植民地支配の過去から日本の行政に対する不信が根強く、サービスへの理解が進まないという問題、日本語が不自由で介護関係の書類すら読めない問題をどう解決するか、という対策も必要になってきます。介護サービスを受けるために、いくつかのハードルが越えなければならないのです。そこで制度発足の当初から活躍を期待されているのが、朝鮮語が話せ、1世の気持ちを理解できるヘルパーやケアマネージャーの存在です。同胞高齢者を支援するため、日本各地に介護拠点も増えつつあります。
介護業界は厳しい労働条件で人材が集まらないことが社会問題になっていますが、各家庭が抱える負担を減らすためには、同胞高齢者に優しい介護を提供できる「仕組みや人材」が充実しなければと痛感させられます。介護される側はもちろん、介護する側の「心」の問題をもケアできるネットワークが生まれれば、家族や介護される人たちの気持ちや負担は少しでも和らいでいくのですから…。とにもかくにも、現実は家族や介護者の負担があまりに重く、胸が痛みます。(瑛)