ボクシング
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先週の土曜日(2月6日)、ボクシングを観戦しに後楽園へ行ってきた。
目的は日本フェザー級王座決定戦、李冽理選手対高山和徳選手の試合。李選手は朝鮮大学校の卒業生で、月刊イオの昨年11月号にも大きく紹介した選手である。
この試合、勝ったほうが日本フェザー級の王座になるという重要な試合であった。
観戦したのはリングの真横。1メートルと離れていなかった。こんなに近くで観るのは5年前のクレージー・キム選手の試合以来、2度目である。前回は、キム選手の試合が始まる前の前座の試合もすべて観て、血や汗やわけのわからない液体が飛んできて大変だった。だから今回はそれなりの服装をして出かけ、リングサイドに座ったのは李選手の試合の直前からにした。
それなりにスポーツの試合は観るのだが、2チーム、あるいは2人が対戦する形のスポーツのほとんどは、対戦するどちらか一方が応援する対象でないと、観ていて面白くない。その典型が野球で、何の思い入れもない大リーグのチーム同士の試合を観ても面白くも何ともない。
しかし、サッカーと卓球とボクシングの3つは、特にどちらを応援するというわけでもない試合でも、観ていて面白い(あくまでも私個人の意見です。理由はいろいろあるが長くなるので書きません)。この3競技の試合でさらに応援する対象が明確なら、自然と熱くなる。
話はどんどん逸れていくが、今までで一番熱くなったのは、1991年5月、第41回世界卓球選手権大会(千葉)のときに、女子団体戦決勝で統一コリアチームが無敵だと言われた中国を破って優勝した試合である。優勝した瞬間、取材でゴールデンウイークがすべてつぶれてしまった悔しさも吹き飛んでしまった。
今回、会場にはいたるところに知り合いの同胞の顔があった。いたるところから朝鮮語が聞こえてきた。李選手を応援するために、本当にたくさんの同胞がかけつけていた。李選手のノボリには「不逞戦人」と書かれてあった。「不逞戦人」は李選手のキャッチフレーズである。
試合前の表情は、李選手が落ち着いているのに対し、高山選手は少し落ち着きがない。二人の対照的な顔を見て、なぜか勝てるような気がした(後で聞くと、李選手は相当緊張していたそうである)。
試合は、李選手が終始押し気味に進める。会場からは「レツリ! レツリ!」の応援コールが沸き起こっていた。
両者ダウンを奪えないまま10ラウンドが終了し、判定へ。ボクシングは、応援する選手が比較的優勢に見えてしまうものだが、それを差し引いても李選手が勝ったと思った。はたして結果は3-0での見事な勝利。
初めての朝鮮大学校卒業生の日本チャンピオン誕生の瞬間だった。
リングの上で李選手は、数多くの応援に感謝をのべ、さらに上を目指すと決意していた。洪昌守選手に続く世界チャンピオンを目指してもらいたいものである。(k)