かながわ外国人学校ネットワーク
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横浜市内で2月27日、かながわ外国人学校ネットワークが発足されました。
神奈川県には日本最古の国際学校であるサンモールインターナショナルスクールから、今年創立102周年を迎える横浜山手中華学校、横浜中華学院、60年以上の歴史を刻んできた朝鮮学校が5つあります。
最近ではインド、ブラジル、トルコ系の国際学校など、新しい学校が増え続けています。もちろんこの現象は17万人の外国籍住民が暮らす神奈川県ならではのものでしょうが、外国籍者200万人を突破し、今後も増え続けていく日本で、外国人学校はますます増え続けていくでしょう。
会場には、近くの教会を借りて国際学校を始めたスリランカ出身の男性も参加されており、日本学校にわが子を通わせたものの、言葉の問題で学校側と意思疎通ができず苦労したこと、いつか本国に帰った時、子どもたちに遠回りさせたくない、との思いを語っていました。
日本の公立学校に外国人の子どもが通った場合、日本語教育をメインに教育が進められていきます。もちろん日本に暮らすので日本語を学ぶことは必要なことですが、その一方で、子どもが持つ母語や母文化が軽視されるという問題をはらんでいます。
この日は「ヨーロッパ市民の誕生」(岩波新書)の著者でもある宮島喬・法政大学教授が「真の多文化共生とは―母語・母文化の意義に寄せて」と題した記念講演をしてくれましたが、人間にとっての文化、人格を形作っていく教育について深く考えさせられました。
10年ほど前に日本の大学生の前で朝鮮学校のことを少し話したことがあるのですが、「民族教育をするから反日的な人が生まれると思う」との感想文が寄せられ、暗い気持ちになったことを覚えています。その時は自分が受けてきた教育を自分の言葉で的確に説明できなかったのですが、世界に数百の言葉があるように、固有の文化によって家族が、友人が、社会がつながっている―。その違いは社会の豊かさにつながっていく、ということが日本でもっと理解されれば、と思います。
今後、外国人学校ネットワークかながわは、「さまざまな文化、民族を背景とするこどもたちが互いに信頼し、尊重しあえる環境を作り、彼ら・彼女ら自らが共に生きる社会を作るための交流や情報交換の場を作っていく」活動を進めるそうです。今まで兵庫、大阪、愛知、東京、静岡で外国人学校のネットワークが進められてきましたが、神奈川ネットワークも、外国人学校がもっとよくなるための仕事をしてくれることでしょう。
外国人学校に興味のある方は、イオ編集部が2006年末に「日本の中の外国人学校」という本を出しているので、ぜひ読んでみてください。日本における「外国人学校100年史」をざっと把握できると思います。(瑛)