準優勝だ! 大阪朝高ラグビー部
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昨日、雨のなか埼玉県熊谷市まで行ってきました。第11回高校選抜ラグビー大会の決勝を観るためです。
決勝戦は、大阪朝高と東福岡高校の対戦でした。大阪朝高は正月の花園での全国大会で、朝鮮高校の団体競技として初めてベスト4を達成しました。対する東福岡は同大会を圧倒的な力で優勝し、今大会も昨年優勝しています。名実ともに日本一のチームです。
1月5日、準決勝の試合が終わったあと、大阪朝高の呉監督に、「来年の正月にまた会いましょう」と言って別れたのですが、こんなに早く大阪朝高ラグビー部の試合を観戦できるとは思っていませんでした。
スタンドには関東一円の同胞が応援に来ていました。東京、神奈川、茨城の朝高生も駆けつけました。競技場は完全に大阪朝高の「ホーム」になっていました。呉監督は「観客席の応援に涙が出そうになった。本当にありがたい」と語っていました。
試合は、開始早々、東福岡が10点を取り、どうなるかと思ったのですが、そこからの大阪朝高がすごかった。バックスの見事な展開からトライを決め7点を返すと、今度はフォワードがモールで押し込みそのままトライして逆転。前半を17対10で折り返します。守っても、相手が縦に縦にと突進してくる波のような攻撃を、朝高生はことごとく止めて、前進させません。
後半に入っても朝高ペースで、後半5分には敵陣インゴールで相手のキックをチャージしそのまま抑えてトライ! 24対10と14点差をつけました。しかし、東福岡もさすがに反撃し、試合終了10分前には24対24の同点になりました。
刻々と時間が過ぎていきます。一緒に写真を撮っていた朝鮮新報のRカメラマン(新婚です)に、「同点で終わったらどうなんの?」と聞くと、Rカメラマンは「延長戦じゃないですか?」と答えます。そんなのんきな会話はまったくの間違いでした。同点で終わったら両校同時優勝ということがすぐにわかりました。
試合時間の30分が過ぎ、インジュアリータイムが2分だとの放送が流れます。インジュアリータイムに入ると、大阪朝高は自陣ゴール前に釘付けにされますが、懸命の守りで相手に得点を与えません。「伝統のタックル」が今日も何度も相手の攻撃を止めていました。
そして3分が経過。プレーが止まった瞬間に試合が終わるという時、東福岡のバックスが60メートルを独走してトライ。試合は劇的な幕切れとなりました。
9分9厘、優勝に手が届いていました。
インジュアリータイムの間、専門家が見ればわかる判定の機微があったり、両校優勝を選ぶかあくまで単独優勝を狙うかという選手たちの思いがあったりと、いろいろとドラマがあったのですが、詳しいことは朝鮮新報の報道をご覧ください。月刊イオでは6月号に掲載します。
試合が終わると、観客はスタンドの前に集まり、「朝高、よくやった!」「胸をはれ!」と声をかけていました。
それにしても、大阪朝高の準優勝はすばらしいの一言に尽きます。また、新しい歴史を作ってくれました。そして、大阪朝高の新チームが相当な実力であることもよくわかりました。ベスト4、準優勝と来たので、次はぜひ優勝してもらいたいと思います。
感動的だったのは、表彰式が終わったあと、大阪朝高、東福岡の生徒たちが、どちらから誘うわけでもなく、ゴール下に集まって記念写真を撮ったことです(写真)。お互いが健闘を讃えあい握手をしていました。
東福岡の選手が、高校無償化の問題について、「こうやって同じ大会に出て、一緒に闘っている同じ高校生なのに」と語ってくれたのがうれしかったです。(k)