SF小説
広告
なぜか、定期的にSF小説が読みたいという気になることがある。30歳頃まではけっこう定期的に読んでいたが、その後は話題になった作品が文庫本になったときなど(お金がないから文庫本になるまで待つんです)、たまに読む程度であった。SF小説を読む周期も、どんどん長くなってきて、今回やってきた「読んでみようか」は、約5年ぶりくらいだと思う。
(以下、SF小説に関心がない方は、読んでも面白くないかもしれません)
SF小説を読むようになったのは、高校生のときに、たまたまアイザック・アシモフの「鋼鉄都市」という作品を読んだことがきっかけである。そこから、アシモフの作品を中心に、あれやこれやと読むようになった。
特にSFマニア、ファンというわけではないので、SF小説を選ぶときには、一定の評価が固まったものを選ぶことにしている。例えば「ファンが選ぶ歴代SF小説ベスト10」などといったものを参考にしている。もう一つは、SF小説界にはネビュラ賞とヒューゴー賞という有名な2つの賞があり(ローカス賞というのもある)、その受賞作から選ぶというやり方である。たまに2つの賞を同時に受賞した作品もある。
そういうわけだから、SF小説に関しては完全にミーハーなのだ。
シリーズものを読み始めると、必然的に最後まで読んでしまうことになる。アイザック・アシモフの「ファウンデーション」シリーズなんかがその典型で、1作目の「ファウンデーション」から最後の「ファウンデーションの誕生」まで、読み終えるのに20年くらいかかってしまった。定期的に読むのは、シリーズの新作が文庫本になるたびに読むからそうなるのかもしれない。アシモフのシリーズ物としてはロボットシリーズもあり、ファウンデーションシリーズは最後のほうでロボットシリーズと融合してしまう。
ちなみに、アシモフが死んだ後、ファウンデーションシリーズを他の作家が書きついでいて、新ファウンデーション3部作として出版されているのだが、その第1作を読んで、ひどくがっかりさせられた。だから第2作と第3作はまだ読んでいない。新シリーズを書くなら、ハリ・セルダンのことはもういいから「ファウンデーションと地球」のその後を書けよと、強く言いたい。
その他のシリーズ物では、ダン・シモンズのハイペリオン4部作も長かった。暇な人は読んでください。
あと、アシモフと並んでSF小説の大御所と言われるアーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインラインの作品は、やはりそれなりに面白かった(そんなに読んでいないけれど)。
SF小説の良さは普通の小説にはない突拍子のない発想や設定にあると思う。そういう意味で、推理小説もそうだが、時代が進むにつれ、アイデアが出尽くしていくだろうから、書きづらくなっていくのかもしれない。SF小説に関しては、コンピュータがそれほど普及していなかった頃のものが面白かったと思う。変に「サイバー空間」というものが出てくると興ざめするのだ。新ファウンデーションシリーズの1作目がそうだったし、SF小説ではないけれど、鈴木光司の「リング」はそれなりに面白かったが、なぜ「ループ」でサイバー空間を持ち出したのか理解できない。
あくまでも私が知っている範囲でのことだが、差別や抑圧、争いごとのない世界を舞台にしたSF小説というのがない(少ない?)。なぜなんだろうか。小説の舞台として面白くないからなのか。そういう世界は空想できないからなのだろうか。
高校無償化は朝鮮学校を排除してスタートし、日本政府は朝鮮への「制裁」の1年間の延長を9日の閣議で決定した。空想に浸っていても何も解決しない。SF小説を読むのも今回が最後のような気がする。(k)