「韓流」の本
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「冬ソナ」が大ヒットして以降、「韓流ブーム」が起こり、いまではテレビで韓国ドラマを放送しない日はないと言っても過言ではありません。しかし、私自身は、韓国ドラマを最初から最後まできちんと見た経験がありません。
韓国ドラマが嫌いだからではなく、もともとテレビドラマを見る習慣がないからです。いろんな人から、「面白いよ」と言われるのですが、なかなか何時間もテレビの前に座ろうという気にならないのです。
映画は別で、2時間なら2時間で終わることができるから、それほど多くはないですが、韓国映画は何本か観ました。非常に感銘を受けた作品も多かったです。日本でもヒットした「JSA」は、取材でソウルに行ったときに現地の映画館で観ました。
最近、「韓流がつたえる現代韓国」という本を読みました。副題は「『初恋』からノ・ムヒョンの死まで」となっています。
この本は、具体的な韓国ドラマや映画を題材にしながら、その背景にある韓国社会のさまざまな問題について解説しているものです。
取り上げている作品は、ペ・ヨンジュン主演の「初恋」にはじまり、「冬のソナタ」「モレシゲ」「JSA」「ペパーミント・キャンディ」「トンマッコルへようこそ」など、日本でもおなじみの作品で、韓国社会が抱える南北分断や独裁政権に対する闘い、アメリカとの関係などの問題が作品にどのように反映されているのかがわかりやすく語られています。
前回のブログで今年が光州民衆抗争から30周年にあたると書きましたが、光州事件を経験した「386世代」と呼ばれる人たちが、ドラマや映画の制作の中心に進出し、それまでのタブーを破った作品を発表しています。本のなかに次ような一節があります。
「激動の現代史とともに歩んできた韓流シネマ、映画人たちは、検閲と闘いながら、闇に隠された歴史の真実を描こうとしてきました」
読んでいると、なるほどと思うことが多く、社会的背景を理解して見るのとそうでないのとでは、作品の楽しみ方に大きく差が出ることも改めて納得しました。
また、日本で韓国ドラマや映画がヒットしているのは、日本のドラマや映画のように、ただの恋愛云々を描いただけではなく、社会的なメッセージが強いからなのではと思うようになりました。
「韓流がつたえる現代韓国」、興味のある方はぜひ読んでください。(k)