いまの高校無償化問題
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世間はW杯でうかれていますが(わたしもうかれてます)、高校無償化から朝鮮高校が除外された問題もわすれてはいけません。適用するよう様々なところで様々な取り組みが地道に行われています。
6月13日の日曜日、東京朝鮮中高級学校では文化祭として第10回北区十条朝日祭~アンニョンハセヨ2010~が開かれました。朝鮮の文化祭も日本の学校と違っていて、自分たちだけが楽しむというものではまったくなく、名称を見てもわかるように、近隣をはじめ多くの日本人を招いて、民族教育に対する理解を深めてもらい朝・日友好を促進していこうというものです。
学園祭で行われた内容を見てもそれはわかります。 校門を入るとまず、民族教育の歴史や教育内容などを伝えるパネル展示が並んでいました。その他、公開授業、十条国際音楽祭、帝京高校生徒とのシンポジウムなどが行われました。そのなかで特に訴えられていたのがやはり、高校無償化問題でした。校内では朝鮮高校への適用を求める署名も集めていて、訪れた多くの人々が署名をしていました。
ざっと見たところ、同胞、日本人合わせて1000人は来ていたのではないでしょうか。
6月15日には、衆議院第2議員会館で朝鮮高校への無償化適用に関する勉強会が行われました。
ここでは主に、先日、スイス・ジュネーブで開かれた「国連子どもの権利委員会」の対日審査に、この問題を訴えるため現地を訪れた朝鮮高校の保護者(オモニたち)らが、その模様を報告しました。朝鮮高校だけが除外されているというオモニたちの訴えに、委員たちは真摯に耳を傾け審査ではそれに関する質問も日本政府に行ったようです。
国連子どもの権利委員会が6月11日に発表した総括所見では、「アイヌ、コリアン、部落その他のマイノリティの子どもが引き続き社会的および経済的周縁化を経験していることを懸念する。」など、日本政府へ差別を是正するよう勧告がなされています。
勉強会では、東京朝高、神奈川朝高の生徒たちも来て、朝鮮高校生の連絡会を結成し署名運動を繰り広げるなど、自分たち朝高生が先頭に立って、適用されるよう活動していくと訴えていました。
印象に残ったのは、参加した日本の方が「朝鮮高校排除はまさに日本人自身の問題。今後、朝鮮高校が適用されたとしても、一度、除外されたという事実はけっして消すことはできない」と言っていたこと。そして、ひとりのオモニが、「今日も朝高生がここに来て訴えているが、本来、学校で勉強したりクラブ活動に打ち込む時間であるはず。オモニたちも家事や仕事が大変ななか、何日も家を空けて高いお金を使ってジュネーブまで行き、今日もこうやって駆けつけている。抑圧されている側のわたしたちが、いつまでこのようなことをやらなければいけないのか」と訴えていたことです。
学園祭でも、生徒たちがその日のために何日も前から準備し、当日もひとりでも多くの人に朝鮮学校のことをわかってもらおうと、一人ひとりがそれぞれの担当の場所で懸命に働いていました。
まえにこのブログでも同じことを書いたと思いますが、なぜ朝鮮学校の生徒たちにそのような負担をさせなければいけないのでしょうか。保護者の方々に苦労を背負わせなければいけないのでしょうか。
首相が交替しましたが、政府もマスコミも高校無償化のことを忘れてしまったかのように動きが見えてきません。いまは選挙のことしか頭にないのでしょう。
月刊イオでは高校無償化問題を引き続き、少しでも取り上げ伝えていきたいと思っています。今日、出来上がった7月号にもオモニたちのジュネーブでの活動などについて掲載しています。 今月の特集は、「朝鮮八道料理紀行」。朝鮮半島の各地方の郷土料理を紹介しています。(k)