「代替医療」は本当に効く?
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ブログのネタが枯れ気味・・・ということで、今回は最近読んだ本の中でおススメを紹介をしたいと思います。
英国の科学ジャーナリスト、サイモン・シンの著書「代替医療のトリック」(新潮社)です。今年初めに出版されたものですが、鍼やホメオパシー、カイロプラクティックなどいわゆる正規の医療に含まれない「代替医療」は本当に効くのかを、最新の科学的成果を元に検証していく内容になっています。医学の発展に関する逸話をふんだんに盛り込んでいて、扱っているテーマの難しさにもかかわらず比較的すいすいと読み進めることができます。
本書でも扱っているホメオパシーですが、最近、新聞紙上でも多くの報道が出ています。今年5月、山口県内の女性が、ホメオパシーが効かず自分の娘が死亡したという損害賠償請求訴訟を山口地裁で起こしました。このホメオパシー、「健康な人間に与えたら似た症状をひき起こすであろう物質をある症状を持つ患者にごくわずか与えることにより、体の抵抗力を引き出し症状を軽減する」という理論に基づいて行う治療行為と説明されています。やり方としては、ある病状を引き起こす有毒成分を水によって極めて高度に希釈し、それを砂糖に染み込ませた「レメディ」と呼ばれるものを服用するそうです。
しかし有効成分の分子が1個も残らないほど超高度に薄められているため、「レメディは単なる砂糖粒」で効果はまったくないという批判が多くなされています。
ほかにも本書で検討の対象になっている代替医療にはわれわれ一般人にもなじみの深いものが多く含まれています。詳しい内容に立ち入ることはしませんが、本書が下す結論は衝撃的でした。本書の隠れたテーマは「科学的アプローチとは何か」ということです。いろんな意味で「目からうろこ」なので、ぜひ読んでみてください。私的に、今年読んだ本の中でベスト5に入ると思います(相)