TUTTIコンサート
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今、日本政府が朝鮮民主主義人民共和国に対して「制裁」を続けているなか、船旅による朝鮮訪問は途切れたままで、私の周りにも船の3倍近くの料金がかかる飛行機代は捻出できないとして、親きょうだいや、親戚に会えずに悶々とした日々を送る人が多くいる。
最後に朝鮮を訪問したのは2002年5月のこと。心身に障がいを持つコリアンの家族との旅だった。取材記者として同行し、障がい者たちを支援する団体やその家族たちと交流する、という初めての体験。ホテルのロビーで手話で会話をする朝鮮市民と在日コリアンの高校生の姿を見た時は、この奇跡的な出会いに立ち会えて本当によかったと感じた。
当時70万人に一人の難病といわれたコルネリア・デ・ランゲ症候群、ダウン症、自閉症、聴覚や視覚の障がい…。同行した同胞の多くは日本の学校に通う児童や生徒だったが、親御さんたちは、この子たちにいつか祖国を見せてあげたいという想いを抱かれていて、中には朝鮮に帰国した実兄に会いたいと訪問を夢見る先輩もいた。その先輩は幼児のときに視力を失うも、朝鮮学校に通いたいという夢を捨てきれず、1年間自宅でハンストを起こしたという。
コリアン社会で同胞障がい者の問題がクローズアップされたのは、1995年に家族たちのネットワーク「ムジゲ会」が生まれたことが大きなきっかけになったが、それまで声にならなかった彼らの思いがやっと、届き、「在日同胞福祉連絡会」の主催のもと、訪朝が実現したのだった。
その流れを汲み、2002年春には在日同胞障害者を対象にした音楽サークル「TUTTI」が生まれ、毎月練習を重ねている。 TUTTIは音楽用語で「solo」の反対を意味し、「みんな一緒に、みんな一人じゃない、と言う想いを込めて」名づけられたという。毎月の練習には朝鮮大学校(東京都小平市)の学生がボランティアで送り迎えや練習をバックアップしている。2003年に横浜の赤レンガ倉庫で初のコンサートが開かれたのだが、彼らが奏でるチャンゴの調べ、チャンダンのリズムは私の想像を超えるものだった。
そしてなんと! 来る9月26日の午後1時から、東京・大田区の大田区民ホール「アプリコ」(JR蒲田駅から徒歩15分)でTUTTIのコンサートが開かれる。子どもたちの中で人気の「ウリウリコッポンオリ」のコンサートも同時上演。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
コンサート問い合わせ先:同実行委員会(℡03・3758・2816)(瑛)