無償化問題、何かおかしくない?
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今月5日、高木義明文部科学相が高校無償化の適用基準を発表するなど、朝鮮高級学校の無償化適用問題で大きな動きが見られた。しかし、だ。(K)さんも先日のブログで書いているが、日本政府と与党民主党はこの当然のことを決定するのに7ヵ月もの時間を費やした。さらに今の段階ではまだ決定ではなく、最終的な適用までには今後も書類の提出や個別の学校に対する審査などが控えている。
適用基準発表後、この問題に関する政治家の発言やメディアの論調を可能な限りフォローしてみたが、総じてひどい。口が裂けても、「一件落着」とか「めでたしめでたし」とは言えない状況だ。
たとえば産経新聞。自社が行った世論調査の結果をたてに、「6割近くの人が『不適切』と思っているにもかかわらず、無償化を決めた」と政府の対応を非難した。では聞きたいが、差別を世論調査で正当化できるのか? 世論ごときで人権の問題が左右されていいはずがない。
さらに、高木文科相は5日の記者会見で、朝鮮学校の教育内容について「懸念があれば自主的改善を促す」と談話を発表。11日の拉致被害者家族会メンバーらとの面会ではさらに踏み込んで、「全力で改善を促す」としながら、無償化申請時に教科書を提出させて検討し、内容の是正を求める方針を伝えた。
これは明白な思想介入だろう。朝鮮学校の教科書の「反日的記述」を問題にしているらしいが、では、政府、メディア挙げての「反朝鮮」キャンペーンを今すぐやめてくれ。「拉致被害者家族の感情」を言い立てる産経新聞は「朝鮮学校生徒の家族感情」を考えたことがあるのか。
産経の論調には今さら驚かない。問題は、他の大手メディアまでもが揃いも揃って、このようなネガティブキャンペーンと共犯関係を取り結んでいることだ。
「朝鮮学校無償化 開かれた教育へ脱皮を」という毎日新聞6日付の社説。ここで、「開かれた教育へ脱皮を」と説教されているのは朝鮮学校だ。これほど人をばかにした物言いもないだろう。そもそも、朝鮮学校に対する無償化除外は差別であり、当然無条件に適用されるべき無償化を今に至るまで先延ばしにしてきた対応こそをまず問題にすべきなのに。
朝鮮学校が日本の高校に類する教育課程を満たしていることにも、法案の趣旨から無償化適用は当然だということにも、無償化除外が国際人権条約などに照らしても明白な差別であること、自国政府の不誠実な対応を国際機関から指摘されていることにもほとんど触れてこなかった大手メディア。ここに、無償化問題をめぐる差別的状況を自らの問題として考える視点は一切ない。すべてが朝鮮学校側の問題としてだけ語られ、日本側は免罪という倒錯した状況。これが無償化問題の現住所だ。
毎日新聞の社説子よ。偏見の眼差しにさらされ、いわれなき差別を受けている側に「不信を拭う努力」を求めるのか。
ああ、腹が立って眠れない。(相)
教科内容への不当介入絶対反対!
そもそも4月の実施の段階で朝鮮学校も適用されて然りでなければならなかった。
他の外国人学校へは何の介入がなく、朝鮮学校だけに教科内容に介入するのは日本も批准している国際人権規約や子どもの権利条約にも著しく違反しているからです。
日本の歴史教科書は引き起こした侵略戦争の記述が極めて少なく、羅列的な記述だけなのだから朝鮮学校うんぬん言える資格など日本政府は言えない。
そして朝鮮学校がいかなる経緯で出来たのか、4・24教育闘争の記述をしている日本の教科書はないからです。
朝鮮民族が自らの歴史や祖国について学ぶことは至って普通であるべきあり、これを制限することがあれば結局は日本人自らの歴史を顧みないことになってしまいます。