締め切り
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締め切り――取り扱いを打ち切ること。また、その時日。あらかじめ決められた終了の期日(大辞泉より)
朝鮮語で「마감」、英語ではdeadline。
記者をはじめ文章を書くことを生業としている人間にとって、この言葉が持つ響きは重い。決して避けることのできず、ある時点で必ず追いつかなければいけないもの。もちろんどんな仕事にも期限があるが、新聞や雑誌の締め切りは一般的な仕事における納期とはやはり違う。
時間切れが迫る。書き手は誰でもこのことを常に考えている。結果的に締切りを守れようが守れまいが、そのことに変わりはない。そして、締切りを前もって計算して(時にはさばを読んで)書く。
新聞と雑誌では締め切りの種類や内容は違うが、根本では同じ。
新聞にいた頃は、締め切り目前になると不思議な力が舞い降りて「スーパーサイヤ人」に変身することがたびたびあった。しかし、これは決してほめられたものではない。「火事場のばか力」的なパフォーマンスはどん詰まりの状態で集中力が極限まで高まった結果、生まれるのであって、このような事態を避けるためにも、締め切りを前もって計算して、余裕を持って仕事をすべきなのだ。
しかし、この当然のことがなかなかできないのが自分の悪いところ。
締め切りと仕事の質について自分なりに分析してみた。質の高い仕事をするうえで、集中力は大切だ。しかし、集中力を高めるのは大変だ。人間は集中力を高めることをできるだけ節約する傾向がある。でも、真に創造的な仕事は、集中しなければ進まない。そして、集中力は多くの場合、時間の制約がなければ上げにくい。締め切りはそれに寄与しているから、私たちはいわば締め切りのおかげでパフォーマンスを出せているとも言える。
こじつけ? 体のいい言い訳? こんなことを書いておきながら、実はこのブログの執筆もだいぶ時間に遅れている。どうでもいいことをあーでもない、こーでもないと書くんだったら、このブログの文章を早く仕上げろよ、と自分に言いたい。
英語では締め切りに間に合わせることを、meet a deadline(締め切りに出会う)と表現する。逆に、締め切りに遅れること、間に合わないことを、miss the deadlineと言う。
現在、イオでは来年1月号の編集作業の真っ最中だ。新企画もあって、いつもより慌しさは5割増し。Meet the deadline、「締め切りさん、こんにちは」の精神で今日も原稿書きを頑張ろう。(相)