朝鮮代表団の訪日
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連日暑いですね。暑くて倒れそうです。そんな猛暑の中、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
今回は、連日の猛暑によるいらだちをさらに増してくれるトピック、朝鮮民主主義人民共和国代表団の日本訪問について書きたいと思います。今月14日に東京都内で開かれたアジア・オリンピック評議会(OCA)総会に孫光浩・朝鮮オリンピック委員会副会長、張雄・国際オリンピック委員会(IOC)委員ら5人が参加しました。
日本政府は2006年10月の朝鮮の核実験以来、「北朝鮮国籍保有者の入国を原則禁止」する制裁措置を続けており、5人に対しては「例外」としてビザを発行したといいます。日本側は入国を認めた理由として▼スポーツに関する会議は大きな意義を有する、▼国籍により出席を拒否した場合、OCA憲章に抵触し、日本が制裁を受けることもある▼朝鮮関係者が参加しなければ、総会の意義が減じられる、の3点を挙げ、「特別な事情が認められると判断した」(伴野豊外務副大臣、11日の記者会見)そうです。
成田空港に到着した張雄氏は、「今回のことは、特例や恩恵ではない」と述べ、日本政府が特例措置として入国を許可したことについて、「当然だ」と主張しましたが、私もそう思います。今回の件に関して「例外」、「特例」を強調しているところに、日本側の本心が透けて見えます。
オリンピック憲章の第1章。「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形であれオリンピック・ムーブメントに属することは相容れない」。
続いて、アジア・オリンピック評議会憲章の第1章、第2条。「評議会またはどの加盟国も、ほかの加盟団体に対して決して差別をしてはならない。加盟団体の代表者、役員または選手は、肌の色、宗教または政治的な理由によりアジア協議会へのエントリー及び参加、または評議会の会議や委員会への出席に関して、いかなる支障、資格剥奪、負担、制限または条件も課されてはならない。加盟団体または資格を持つ代表者、役員、選手が大会や会議の開催都市を訪問する際、妨害されてはならない。この原則に故意の違反や侵害は、違反行為とされ評議会によってしかるべき処分を受けるものとする」。
入国問題は以前に何度も浮上したことがあります。スポーツ選手も何度も入国を阻まれてきました。直近では昨年2月、女子サッカー東アジア選手権で、朝鮮代表の入国に当時の中井洽拉致問題担当相らが反対。最終的に入国は認められましたが、朝鮮側がこの間の日本側の対応を問題視し、結局参加しませんでした。
今回は無事入国となりましたが、では、「評議会によってしかるべき処分を受けるものとする」という規定がなかったら、果たして結果はどうなっていたでしょうか。朝鮮側の入国を認めていたでしょうか。
8日の産経新聞の「主張」の見出しはなんと「北IOC委員 入国は認めるべきでない」。わぁ、ここまで露骨に主張するんですね。たしか同紙は石原都政による五輪再誘致を支持していたはずですが、その五輪憲章を真っ向から否定するような暴論を展開しているのは一体どういう了見? しょせん産経新聞などの右派、排外勢力にとっては五輪の精神などどうでもよくて、制裁の方が大事なのでしょう。これからは産経の「オリンピックってすばらしい」的な報道には眉に唾つけて接しましょう。
さらには、「自民党の拉致問題対策特別委員会で、『工作員がまぎれて入国する恐れがある。入国を申請する人物をしっかり特定すべきだ』(安倍元首相)との意見も出された」という報道にいたっては、あきれるほかありません。さすが安倍さんですね。
そして、拉致被害者家族連絡会事務局長の増元照明氏のウェブサイトには、「北朝鮮に民間人はいない」(8日)、「一歩引いて、北朝鮮の政府高官(工作員)の入国をオリンピック憲章の下に招聘し、入国させたとしても、総連関係者との接触は断じて許してはならないはずだが、空港に出迎えたのは総連関係者であり・・・」(12日)などと変テコリンな文章のオンパレード。何の根拠で彼らが「工作員」だと名指ししているの? 総聯関係者と接触するのに一体何の問題が?
彼らのような貧困な認識しかない人物が政府の対朝鮮政策や民間の世論形成に少なくない影響を及ぼしてきたことに不幸があると思います。