セバスチャン・サルガド講演会
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先週の金曜日(11月25日)、東京・渋谷の日本写真芸術専門学校で行われた世界的フォトジャーナリスト、セバスチャン・サルガド氏(68)の講演会に行ってきました。サルガド氏は同校の名誉顧問を務めています。今日の写真家の中で最も偉大な写真家の一人と言われているほどの人物の話を無料で聞ける機会はそうあるものではないので、在日本朝鮮青年商工会(青商会)を通じて講演会の案内が回ってきた瞬間に申し込みました。
今回の講演会のタイトルは「明日への対話~dialogue with youth about tomorrow’s earth」。サルガド氏が現在取り組んでいるプロジェクト「創世記ージェネシスー」をはじめ、環境問題、東日本大震災に原発事故など地球規模の問題が取り上げられました。
文明やコミュニティのあり方、他者とのかかわりなど講演の内容は多岐にわたり、非常に興味深いものでした。サルガド氏のたたずまいはフォトジャーナリストというより哲学者のようでした。
サルガド氏はアフリカの干ばつや飢餓、世界の労働者の実態、移民や難民などのテーマを地球規模の視点でとらえてきました。訪れた国は120ヵ国に及ぶとか。そんな彼の作品の特徴はその「美しさ」。一度見たらその世界に引き込まれ、鮮明に記憶に残ります。悲惨な状況を写しているのに、絵画のような美しさで切り取る―。ときにそれは「神々しさ」さえ感じます。見る人によっては好き嫌いが分かれるかもしれません。インターネットで検索すれば写真を見ることができるので、興味のある方はぜひ。
氏は「私はどんな過酷な状況の中でも、生きようとする人間の尊厳を撮っているのだ」と語ったことがあります。写真は見る人の好みの問題とも言えますが、彼の写真はそういう個人の趣味のレベルを超えて、長年にわたって世界の一流の写真家たちに影響を与えています。そしてその活動に対する注目度においても際だった存在であることは間違いないと思います。
今回来日したサルガド氏は講演会に先立って夫人とともに学生たちとのワークショップも行っています。決しておざなりではなく、学内で選抜された学生たちの作品をサルガド氏が数日間にわたって直接講評し、指導もするという本格的なもの。それらの作品を、サルガド氏の写真集の編集も担当するレリア夫人の手で1冊の写真集にまとめられます。そのぶん指導は厳しく、一定の水準に満たない作品はボツになって掲載されないそうです。世界最高と言われる写真家からガチの指導を受けられる学生たちを本気でうらやましく思いました。(相)
サルガド
セバスチャン・サルガドの写真、神々しいですよね。
Unknown
kame様、コメントありがとうございます。サルガドの写真は見るたびに引き込まれますよね。好き嫌いが分かれますが、私は好きです。