「女たちの記憶への旅」連続講座
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先週の土曜日、「VAWW RAC」主催の「女たちの記憶への旅」プロジェクト・連続講座の第1回目が早稲田大学で開かれ、私も聞きに行きました。
「VAWW RAC(VAWW Research Action Center/「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター)」は、1998年、「VAWW-NET」ジャパンを発足し、女性国際戦犯法廷、NHK番組改ざんの真相と責任を問う裁判、日本軍「慰安婦」問題の解決を求める取り組みなど、その他数々の運動や活動を行ってきました。今秋、「VAWW-NET」ジャパンを発展的に再編し、「VAWW RAC」と改称し、新たなスタートをきりました。
再スタートに際し、新たに10のプロジェクトが立ち上げられ、今回の連続講座もそのプロジェクトの一環として企画されました。
「女たちの記憶への旅」プロジェクトは、画家である富山妙子さんの90歳の半生と、彼女の思想・作品などから、日本におけるフェミニズムの運動の軌跡をたどろうというもの。第1回はご本人をお招きした公開インタビューで、主に富山さんの出生にまつわる話や、戦時中どのように過ごされたのかなどが話されました。
1921年兵庫に生まれ、日本帝国主義の時代に少女期を過ごした富山さんは、戦後韓国の民主化運動に関わり、民衆の抵抗をテーマにした作品や日本軍「慰安婦」をテーマにしたたくさんの作品を発表しました。講座では「慰安婦」をテーマにした作品の一つである、スライド「海の記憶」(1988年製作・上映)が上映されました。静止画と音楽、語りで構成された映像作品で、日本軍「慰安婦」被害者が強いられた苦痛をアートで表現したものです。語り部がムダン(巫女)であったり、物語仕立てになっていたりとファンタジーのような要素が入っていますが、内容そのものは取材に基づいて作られたものだそうで、15分ほどの短い映像ですが、訴えかけるものがあり見ごたえのある作品でした。
私は富山妙子さんの存在を今回初めて知ったのですが、富山さんが日本軍「慰安婦」問題をテーマにした作品の制作を始められたのは1986年。1991年に元「慰安婦」被害者が名乗りでて問題が広く知られる前のことなんですね。社会が目を背ける問題に富山さんはいち早く取り組み、そして90歳になられた今も活動を続けていらっしゃいます。
今回は連続講座の第1回とあり、それほど深くはお話が展開されませんでしたが、それでも彼女の存在を知り、作品の一端に触れられただけでも、私にとっては十分意義のある講座でした。
残念だったのは、参加者の数が少なかったことと、大学で開催されたにも関わらず若い世代の参加者が少なかったこと。運動を継承していく立場にある若者こそが、彼女のような方々の思想や、運動の体験をもっと積極的に学ぶべきなのに・・・と思っていました。
連続講座以外にもVAWW RACでは、日本軍「慰安婦」問題をはじめ、歴史教科書問題や沖縄米軍基地の問題などたくさんの運動を推し進めています。今後も可能な限り足を運んで、この貴重な取り組みを当ブログでこまめに発信していきたいと思います。(淑)