映画「TESE」
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11月末から川崎で上映が始まった映画「TESE」http://chongtese.net/を紹介します。
映画は、サッカー朝鮮民主主義人民共和国代表の鄭大世選手を南アフリカ、ドイツと3年半にかけて追ったドキュメントです。
大世選手と会ったのは、彼がフロンターレに籍を置いていた頃でした。最近は、テレビなどのメディアで目にする機会も増え、また昨年は夢のワールドカップにも連れて行ってもらい、4年半の間、色んな夢を見せてもらったことに感謝しています。
大世選手は、数ある選択肢の中でも「茨の道である朝鮮代表」を目指しました。映画を見ながら、私が知る大世選手は一面に過ぎなかったかぁということ、さらには在日朝鮮人を取り巻く、いろーんな問題を知ってもらうためには、私たちはもっともっと語っていかなくては、と感じたしだいです。
映像の中で大世は、朝鮮代表を誇りながらも、「韓国に行ってもウリナラに行っても日本人扱い。…自分にはホームがない」と、時に日本代表への憧れを口にし、試合に敗けたくやしさをぶつけます。それは、朝鮮代表との意思疎通に悩む姿でした。生まれ育った環境やともに過ごした時間が少ない分、そのなかで認められることは簡単なことではない、過去の代表選手の証言からもその重い事実は浮き彫りになります。
映画は、日本、朝鮮、世界とフィールドを広げていく大世選手の姿と、彼を生み出した在日朝鮮人社会という二つの軸を示しながら、逆境を「可能性」に変えていく鄭の逞しさに迫っていきます。監督は東京朝鮮中高級学校卒業生の姜成明さん、「TESE」をぜひご覧ください。(瑛)