「往復書簡2012」第1部連載中
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2011年度から始まり、おかげさまで多くの読者からご好評を得ている「往復書簡」。これまで、友人をはじめ知り合った方々に「(イオの)どの連載が好きですか?」と尋ねると、いくつか挙げてくれる中に、高い確率で往復書簡が含まれていたし、「イオをもらったらまずはじめに往復書簡から読む」と言ってくださる方もいました。
2011年度は、各分野でご活躍されている同胞識者や、在日の活動家に手紙をやりとりしてもらい、在日朝鮮人の過去、現在、未来について考察してきました。
2012年度はタイトルも新たに「往復書簡2012」とし、マイナーチェンジを図りました。お気づきでしょうか?
今年の往復書簡では、より幅広い層、分野の人たちに登場してもらい、大きな視野から在日朝鮮人に関わるさまざまな問題を語ってもらいます。
連載中の第1部(1~3月号)は、朝鮮大学校の李英哲先生と、京都大学大学院の岡真理先生にご登場いただき、植民地主義の問題をパレスチナ問題と在日朝鮮人の問題とを対峙して論じていただいています。
李先生は、過去数年間にわたって小説やエッセイでイオを支えてくれている、イオ読者の皆様もおなじみの方ですね。岡先生は記事の中で登場したことはありますが、筆者としては初登場です。
私にとって李先生は、朝鮮大学校在学時から卒業後にも公私両面で本当にお世話になっている恩師(とここに書くのはちょっと照れてしまいます)ですし、一方、岡先生といえば、学生の頃、岡先生のご著書や翻訳で勉強させていただきました。とりわけ、岡先生が訳されたガッサーン・カナファーニーの「ガザからの手紙」というアラブ文学作品は、最も衝撃を受けた作品の一つで、私の中で今でもひときわ光彩を放っている作品です(当該作については、往復書簡第1部最終回で取り上げられる予定です。乞うご期待あれ)。
尊敬するお二方がこうして誌面を通じて出会い、誌面上で論議してくださることがとてもうれしく、自身、毎月楽しみにしている記事なのです。
さて、第1回(1月号)は、岡先生がイスラエルと日本、「歴史的否認の同盟」の問題として提起し、それを受け李先生がパレスチナと朝鮮人の歴史と現在と重ねたうえで、植民地主義の克服と、日本人と朝鮮人の連帯について、問いかけを返されました。
第2回(2月号)では、反植民地主義の連帯を何が不可能にしているのか、本質的な障壁がなんであるかに迫っていきます。そしてその連帯と共感において、文学がどのような役割を担うのか、両先生の専門分野が語られます。
往復書簡第1部、たいへん複雑かつ困難な議題ですが、植民地主義の克服という、私たち朝鮮人にとって、在日同胞社会にとって重要な思想的課題を、別の問題から再考することは、意義深く、示唆に富んでいて、想像力と連帯感を掻き立ててくれると思います。
私自身、まだまだ浅学未熟ですが、読者の皆様とともにイオ誌面で考えていけたらと思っています。
往復書簡、まずは第1部最後までお付き合いいただき、第2部以降も、あの方この方とお招きする予定ですので、楽しみにしていてください。
もちろん、ほかの企画や連載もよろしくご愛読くださいね^^(淑)