大阪府教育基本条例案 「教育への政治介入」
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橋下徹大阪市長(前大阪府知事)ひきいる地域政党・「大阪維新の会」が、「大阪府教育基本条例案」を実現させようと躍起になっています。
「大阪の教育を良くするため」というこの条例、果たして本当に役立つのかどうか、論議が起こっています。
(※大阪府知事となった松井一郎氏も、「維新の会」のメンバーです。彼は記者会見で、年度内に教育基本条例案を成立させたいと明言しています)
教育基本条例案で目立っているのは、政治と教育が一体化しているという点です。
学校の教育目標、人事などを執拗に管理し、締め付けを強化するといった内容が、事細かに書き連ねられています。
具体的に見ると、第6条2項で「知事は教育委員会との協議を経て、学校が実現すべき目標を設定する」と定められており、続く条項で、教育委員会も校長も教員も、目標実現に向けて学校運営を行うよう求めています。
また府教育委員会の委員が、(知事が一方的に定めた)「教育目標」を実現する責務を果たさなかった場合、罷免できるともあります。君が代斉唱不起立など、ある同一の職務命令に3回違反した教員は、分限免職という処分を受けてしまうのです。
学校の人事については、校長・副校長は知事・市長採用の外部の人間が面接した上で決め、
そうして選ばれた校長・副校長たちは、教科書採択・教員任用・人事異動・教員評価にわたり絶大な権力を握ることになります。
大阪府教育基本条例案はこのように、「政治的中立性の確保」を原則とした、今の教育委員会制度を真正面から否定しているものと見れます。
戦後の教育から、戦前の教育へと逆戻りするかのようでもあります。
過去に、「教育は本来人間の内面に関わる文化的営みである」とし、多数決原理を元とする政治はなじまない、だから政治家が多数で教育内容を決議して、それを教育現場に押し付けることはやってはならない、というのを教育の在り方の本質的な問題であると認めた最高裁大法廷判決(1976年、「旭川学力テスト事件」)があり、教育への政治介入は否定されています。
はっきり言って、この条例が現実のものとなれば、
現場の先生たちはおのずと、自分たちの職を守るために、言いたいことも言えない、「イエスマン」になってしまうでしょう。
そうすると、上(校長たちや、彼らを動かす大阪の首長)の思うままの組織に、学校がなってしまいかねないと思います。
「上」がやろうとしていることで気になることの一つが、教科書の問題です。
橋下市長ひきいる大阪維新の会は、「つくる会」系教科書を支持しているので、
今後の教科書採択に、必ず意見をつけてくると思います。
(「つくる会」系教科書は、日本の過去の侵略戦争の歴史をわい曲している、右傾化した教科書です)
橋下市長がかねてから主張してきた「民意=政治家」という持論。
彼は、「自分たちが国民の支持によって選ばれているのだから、自分たちの言い分を教育に押し付けるのは正当なんだ」という論理を堂々とのべています。
昨日のテレビ番組の中でも、「少数者の意見を聞くのは大事だが、多数派の意見こそがもっと大事」というような物言いをしていました。
自分たちを正当化しているようにしか聞こえませんでしたが。
最後に、橋下市長とこの人がタッグを組んでいるあたりも見過ごせません。
石原都知事も、右よりな歴史観の持ち主です。
上でも書きましたが、条例が現実のものとなった後、何が行われるのかという問題に非常に危機感を覚えます。(里)
つくる会の
つくる会系教科書の、具体的にどの部分の記述が歪曲なのでしょうか。ぜひ知りたいです。
もし歪曲していることを確認できたなら、私もその教科書を検定合格にした文科省に抗議します。
Unknown
「つくる会」系の教科書のことについて、昨日発売された月刊イオ2月号の「現場発」という記事で扱っています。
そこで、記述の問題点を表にして少し載せてあります。
もしよろしければご参照いただければと思います。
里様
今、神保町のアジア文庫に行ってきたんですが、2月号はまだ入荷してないとのことでした…先に電話でもして確認してから行けばよかった…。
どこか売っている場所を御存知ありませんか?
編集部に行けば売ってもらえますか。
Unknown
すみません、そういうことでしたら、
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