普天間移設、誰の問題?
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「『オキナワ』と聞いて、何を思い浮かべますか?」
大学2年だか3年のときに、講義の冒頭で先生が話した言葉です。
昨日の27日、日米の防衛省は米軍普天間飛行場を名護市辺野古沿岸部に移設する日米合意の実現に努力することで一致しました。
普天間飛行場の名護市辺野古への移転が日米間で合意されたのは1996年。沖縄県では、名護市の住民投票で移設に反対する住民が大多数を占めたり、座り込みやデモなど反対運動を続けてきました。その間にも大学に軍用ヘリが墜落する事故が起こったり、米軍による犯罪が繰り返され、沖縄の人々は苦しめられてきました。にも関わらず、政府は一体どこを見て政を行っているのでしょう。
昨年、移設先の環境に関する評価書提出を女性への性暴力に例えた沖縄前防衛局長の暴言は、重大な性差別、人権侵害として問題視されました。また、前防衛相は、1995年米兵少女暴行事件に関して「詳しく知らない」と国会の場で公然と話しました。田中防衛相は、沖縄戦の激戦地であった伊江島を「いおうじま」と間違えたり、普天間飛行場に隣接する学校の現状に対しても軽はずみな発言をするなど、防衛相としての資質が問われています。沖縄の歴史と現状に対して無知な人材ばかり責任職に登用する政府からは、沖縄の問題に誠実に対処する姿勢すらうかがえません。こんなあり様では、日常的な危険と隣り合わせにある沖縄県民の不安と苛立ちは募るばかりだと思います。
沖縄が抱える問題は、「沖縄県の問題」ではなく「日本の問題」であり、自決権に関わる問題です。
1879年日本帝国が武力を背景に琉球王国を併合し、太平洋戦争では日本で唯一地上戦の戦場となり「捨て石」とされた過去の歴史、戦後67年経った今も米軍機が頻々と頭上を飛び交う今の現状。「占領」はまだ終わっていません。米軍基地は、辺野古に移設するのではなく、かといって日本本土に移設するのではなく、米国に引き取ってもらうべきです。
フランスの作家ミラン・クンデラは、「権力に対する人間の闘いとは、忘却に対する記憶の闘いにほかならない」と言いました。
「『オキナワ』と聞いて、何を思い浮かべますか?」
戦後、日本政府がリゾート観光地としての沖縄のイメージを国民にすり込み、過去の歴史をないがしろにしたゆえつくられてしまった、歴史を軽んじる日本の社会そのものが、問題の解決を阻む大きな要因だと思います。(淑)