文章を書くということ
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以前、息子がなぞなぞを出してくれた。
「野球選手、記者、医者のうち、秘密があるのは誰か?」というもので、けっこう有名ななぞなぞらしい。何分か考えたが答えがわからなかった。
昔から文章を書くのは好きではなかったし、まさか自分が文章を書くような仕事に就くとは思ってもいなかった。
雑誌編集の仕事をするようになって30年以上、どれだけの文章を書いてきたかわからない。それも、日記とか自分だけが読むような文章ではなく、公開され不特定多数の人々が読む文章である。現に今もこうしてブログの文章を書いており、この文章はネットに公表されて誰が読んでいるのかわからない。
文章を書くことを仕事にするようになり思うのは、書くべき内容、伝いたいことがなければ、文章は書けないし、書いてはいけないということ(もちろん公にする文章のことで日記などは関係ない)。
私は学者でもないしエッセイストでもないので、何かを書くとなると、ほぼ必ず取材をする。取材をして、どんなに長い原稿でも内容があればスラスラと書けるけれど、内容がない(取材が不十分な)場合は、短い原稿でも筆が止まってしまう。例えば、月刊イオに毎月「編集後記」を書いているが、たった125字の文章でも、書く内容がないときは悶々と考え込んでしまうのだ。
だから、書きたい内容がないときに、このブログの順番がまわってくると本当にうっとうしい。
また、書きたいテーマがあっても、問題が大きくて無責任に書けないということもある。これも結局は十分に資料を読み込んだり関係者に取材したりしていないから、自分なりの考えはあっても、文章にまとめられない、いいかげんな文章になってしまうために書けないということだ。
山口県光市母子殺害事件で、犯行当時18歳1ヶ月だった被告の死刑が確定したが、死刑制度について、多くのマスコミが被告の名前を伏せることをやめ実名報道に切り替え顔写真も公表したことについて、私の考えは定まっているが、これをひとつの文章として完成させることは、現時点では不可能である。いずれ書きたいと思っている。
さて、月刊イオの3月号が完成しました(写真)。
3月号の特集は「アイラブ焼肉」。長びく不況、焼肉業界に吹く逆風や大手の参入などにより苦戦を強いられている個人店を応援しようという企画です。関西・関東の名店を紹介しているほか、焼肉業界の現状の解説や藤井誠二さんのエッセイ「ホルモン好きを刮目させよ!」を掲載しています。
特別企画は「東日本大震災から1年」。宮城同胞社会の現状をルポし、被災同胞の1年を振り返っています。
その他、最終回となる岡真理さんと李英哲さんの往復書簡2012、京都で行われたシンポジウム「在日朝鮮人の人権―歴史と現在」での徐勝さんの特別講演、2011年度教育研究会の内容など、今月号も盛りだくさんの内容となっています。ご愛読ください。
最初に出したなぞなぞの答えは「記者」。「書く仕事(隠し事)」だから。(k)
イオ拝読
おおっ、「かくしごと」。なるほど!笑
「書く」仕事とは、すなわち「伝える」仕事なのですね。今月号も噛み締めながら読みました。いつも涙、最後の「コッソンイ」の漫画でぽろっとやられちゃいます。泣
なぞなぞとは関係ありませんが、問題を読んでまず、
「秘密」×「野球」=サウスポーキラー
「秘密」×「記者」=クライマーズ・ハイ
「秘密」×「医者」=ブラック・ジャック
が浮かんじゃいました。初めから解く気なしですね、ハイ。
杉さまへ
杉さま、コメントありがとうございます。また、いつもイオをご愛読していただき感謝します。これからもイオを通していろんなことを伝えていきたいと思っています。