小さな朝鮮学校
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今日は友人の蔡一恵さんが書いた、「それでも私にできること~ある朝鮮学校1年生の1年」(頒価1200円)という本を紹介したい。
朝鮮学校は日本各地の約70ヵ所にあるが、この本は全校生がたった26人の、とある地方の小さな初級学校(小学校)を舞台にしたお話。3人の1年生を受け持った蔡一恵先生が、自然豊かなこの学校で、四季折々の息吹を吸い込みながら大好きな朝鮮語(ウリマル)を教える日常を綴っている。
小さな山に面したこの学校の子どもたちは、春になると、花を摘んで先生たちにプレゼントしてくれたり、昆虫採取に向かう。土を入れたペットボトルにアリを入れ、授業中もアリが気になり、ついにアリがペットボトルから脱出することも…。
다녀왔습니다(=ただいま)という言葉を習ったときのこと。家に帰ってきた子どもが間違って 달려왔습니다~(走ってきました)と元気よくあいさつした笑い話や、「4時」を「사시」(朝鮮語は数字の読み方がふた通りある。正しくは네시)と真顔で話すくだりは、ただただ微笑ましい。また、近くのデイサービス施設に通う1世のハルモニに年賀状を書いたところ、「生まれて初めて自分の名前で年賀状をもらった」と喜ばれたこと、地元の同胞高齢者とお店屋さんごっこを楽しんだ時、あるおじいさんの似顔絵コーナーに列ができた話も心温まるものだった。地元の日本学校や市民との交流も活発で、もっとふれあいたいという願いが切実に伝わってきた。
数年前からこのハッキョは、5人以上のクラスがなくなってしまったそうだ。
あとがきで蔡先生は、大学を卒業した数年後に、大好きな母校がなくなった寂しさを綴りながら、「なんにもできなかった自分」を省みていた。学校を作った1世、2世、自分を送ってくれた家族はどんな気持ちだったのかと…。
「本来『学校』とは、何かをアピールしたり、知ってもらうための宣伝材料にはなりえません。しかし、在日朝鮮人・韓国人社会や…歴史を知るうえでウリハッキョは、とても大切な生きた資料です。ぜひ、たくさんの人に知ってもらいたいと思います」(あとがきより)
朝鮮学校の教員が日常を綴った本は決して多くはない。本書を手にとり、小さなハッキョで繰り広げられる子どもたちの、のびのびとした姿にぜひ触れてみてください。
「豊かな貧乏学校、朝鮮学校 マンセー!」(本書より)(瑛)
フェイスブックに紹介
心暖まる本をフェイスブックで、紹介しても良いですか?
本は、イオで買えますか?
太っ腹さんへ
コメントありがとうございます。
イオのブログを紹介してもらうことはまったくかまいません。本そのものの紹介ということになると、編集部とは関係のないこととなりますが、紹介することは問題ないと思います。本自体をイオではあつかっていませんが、コリアブックセンターでは取り扱いまたは取り寄せができると思います。http://www.krbook.net/
Unknown
素晴らしい本を紹介してくださり,ありがとうございます。是非読ませていただきます。若い先生方が瑞々しい感性で書かれるウリハッキョはきっと新たな感動をくれることでしょう。
Unknown
以前コメントさせて頂いた5歳児のオンマです。
過去にウリハッキョで仕事をしていました。
ですが今は日本の幼稚園に入れています。
生後すぐに保育園に入れたため、いざ幼稚園の年齢になった時、お世話になった先生方を裏切れずそのままその同じ系列の幼稚園へ。同時にハッキョの仕事もやめました。
来年四月には一年生。
ウリハッキョに送るのか日本学校に送るのか頭の血管が切れそうなくらい悩む日々です。
この本を一度読んでみようと思います。
素敵な本を紹介して頂いてありがとうございます。
オンマさん
そんなに悩まないで、自然体で、お子さんの将来の幸せだけを考えて決めればいいと思いますよ。