慶尚道マル
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ブログで何度か紹介されてきましたが、5月号の特集は「ブラッシュアップ!朝鮮語」です。
今回、いくつかの朝鮮語教室を取材したのですが、24歳まで韓国で暮らし、流れるような朝鮮語を話す日本人講師の方に「○○○씨 말은 경상도 말이네(○○○さんの言葉は慶尚道のものだね)」と言われました。
その方がそう思われたとしたら、それは私の両祖父が慶尚道出身ということが関係しているのかも知れません。
朝鮮語にも当然、大阪弁や東北弁のように方言があります。
「우리 생활과 언어(私たちの生活と言語)」(朝鮮・科学院言語文学研究所言語文化研究室著、1963年)によると、朝鮮語は咸鏡道方言(東北方言)、慶尚道方言(東南方言)、平安道方言(西北方言)、全羅道方言(西南方言)、京畿―忠清道方言(中部方言)、済州道方言など6つの方言群に分かれているとのこと。「방언사전(方言辞典)」(朝鮮・科学百科事典出版社、1980)によると、ひとつの道の中にも意味を同じくする方言が複数あると書いてあります。まさに방언は朝鮮語の宝庫と言えるでしょう。
前述の本によると、朝鮮語の方言は大きく東部と西部で分かれ、咸鏡道と慶尚道の方言が似通っているそうです。なぜなら、地理的に朝鮮の東部と西部の間には高い山があり、海に出られるという点が共通している、また、15世紀以降に南部地方の住民を大量に北部に移住させた事実とも関係しているとのくだりは興味深いものでした。
また、平安道と全羅道のつながりが緊密だという記述には、「平安道と全羅道に人たちにもっと会ってほしい!」と祖国分断の現実が胸に迫りました。
「イオ」で今年から始まった連載「サノギのピョンヤンナドゥリ」は、筆者のサノギ先生が平壌で出会った人たちに思いをめぐらせながら、朝鮮民主主義人民共和国における言語事情を垣間見られる読み物になっています。サノギ先生のアボニムは中学卒業までソウルにいらした方で、ある人が博物館に納めなきゃいけないと絶賛するほど、美しいウリマルを話されていたそうです。そんなアボニムのもとで育ったサノク先生が、大学卒業後に平壌にある国立演劇団で朝鮮語の話術を習われ、4、5世の朝鮮語教育に携われていることに私はとっても興味を覚えており、いつかピョンヤンマルについて詳しく話を聞きたいと思っています。
今、日本では「韓国語」という言葉が席巻していますが、イオはあえて「朝鮮語」という言葉にこだわっています。もちろん、朝鮮が南北に分断されたことで、単語や文字の表記に差はありますが、大差はありません。朝鮮半島全土で使われる言語、世界各地に散らばるチョソンサラムが使うという意味も含まれた조선말という言葉が好きです。
1世の故郷にもつながり、多少の困難はあっても朝鮮北部や世界に通じ、さらに日本語の干渉を受けている在日朝鮮語。いつか、このユニークな言葉についても特集してみたい、と思っています。その前に私の朝鮮語力をレベルアップさせなくては…。(瑛)
日本人の朝鮮語
いつも、楽しく面白いブログをありがとうございます。ところで、韓国•朝鮮の人にとって、日本人や在日韓国•朝鮮人の朝鮮語は、慶尚道の方言に聞こえるそうです。慶尚道方言は、音の高低で意味を区別したりするようです。日本語で言えば、橋と箸のように。という話を、この記事を読んで思い出しました。なかなか奥深いですね。では、おやすみなさい。