重重-中国に残された朝鮮人元日本軍『慰安婦』の女性たち」安世鴻写真展を見て
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先日、ニコンサロンで催されている「重重-中国に残された朝鮮人元日本軍『慰安婦』の女性たち」安世鴻写真展を見に行った。
右翼の街宣車が来ているという情報もあり、どうなっているのだろうと心配したが私たちが行った頃はすでにいなくなっており、
女性だからか金属探知機も荷物チェックもなかった(ただ警備員は金属探知機らしきものを持ってたが)。
この写真展を取り巻く色んな状況はこのブログや様々なところでも取り上げられているので、
あえてここでは書かず写真展の感想だけ書きたいと思う。
写真展は一言でとても素晴らしいものだった。
見た瞬間に心を揺さぶられた。
朝鮮人元日本軍『慰安婦』のハルモニたちの日常が写されているのだが、
しわしわになった顔や手からはハルモニたちの苦悩が感じられ、なぜか自分の祖母と重なった。
もしかしたら、この人たちひとりひとりが
私や近しい人たちの祖母になっていたかも知れない、そんな想いが浮かび、涙がでてきた。
元日本軍『慰安婦』になったことで、きっと色んな幸せを捨てなければならなかった人たちも、たくさんいるだろう。
写真の中でハルモニが暮らしているだろう部屋は決してきれいとは言えないところで、
その生活環境からも苦難がにじみだしているようだった。
写真の展示に関してもとても凝っているのが目にとれた。
まず現像している紙からして、通常とは違った。
なんでも韓紙を使い、自分の納得いく感じがでるまで何度もトライしているという。
その紙を使うことで、リアルな立体感を感じられた。
そして、額も木製の枠できれいにくくられていて、額から少しの余白を残し、
写真と鑑賞者とを隔てるガラスもない展示方法。
額から使っている素材、そして写されている写真まで、全てにおいて完成度の高い作品だった。
額や展示も含めて作品なのだから手を抜いてはいけないというようなことをよく美術科時代に言われていたのだが、
それらを兼ね備えている展示を久々に見た気がする。
そんな写真展を無料で見れたということにも、驚きだった。
キャプションがないからよくわからなかったという人もいたが、
私的にはイメージを固定されるよりも感覚的に揺さぶられたので、本当に素晴らしい展示だったと思う。
図録もぜひ買いたかったのだが、ニコンサロンが展示以外が許可しないということでその時には、売っていなかった。
だが図録販売がようやく認められたらしいので、買うためにももう一度行こうかなと思っている。
とにかく、とても素晴らしい展示会なので、行ける方はぜひ。
展示会は明日9日15:00まで、新宿エルタワー28階で催されている。(愛)