私の心の中の朝鮮学校
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先週のブログでアン・サリーさんの曲に五感が刺激される話を書きましたが、6月22日に出版された「私の心の中の朝鮮学校」という本もそのひとつです。この本は韓国の俳優・クォン・ヘヒョさんが自身と朝鮮学校との出会いをつづったエッセイで、ページを繰るたびに、ご本人と対話しているような、そんな感慨がわいてきます。
植民地支配の結果、日本に暮らすことになった朝鮮の同胞たちが、奪われた母国語を学ぶ学校を自力で建てたこと、それが日本政府によって閉鎖されたこと、閉鎖に続き、朝鮮半島では戦争が起き、分断が固定化されてしまったこと…。祖国が分断されるなか、北は朝鮮学校を支援し、南は切り捨てた悲劇…。
クォンさんは、差別の中で運営される朝鮮学校が、日本や韓国政府から何の支援も受けられなかったことも含め、朝鮮学校をめぐる歴史と時代を一つひとつひもといていきます。そして、その大きな流れの中に自分の存在をたぐりよせながら、朝鮮学校に学んだ子どもたちが、「日本で生まれたけど南と北を故郷として受け入れ、日本の社会を正確に理解し…橋の役割ができる人たち」と見守りの言葉を送ります。
「一人の人間」が朝鮮学校と出会った思い、自分がどう関わっていくべきなのかを試行錯誤した軌跡が浮かび上がってくる本です。
その言葉に花とリアリティを添えてくれるのが、各ページにちりばめられた子どもたちの絵。
この絵は、18校の朝鮮学校の児童や生徒たちが、モーツアルトやドビュッシーの曲を聞きながら、絵はがきサイズの紙に自由に描いた作品だそうです。「Palam×Kids」プロジェクトと題されたこの試みは、在日コリアンのチェリスト・任キョンアさんが有志とともに企画。この試みに韓国人写真家が注目し、クォンさんの文を添え韓国で出版されました。そして、このたび待望の日本語版が出版されたのです。日本語版といえど、朝鮮語と日本語のバイリンガル本になっていて、両方の言葉で楽しめます。日本語版・韓国語版ともに、収益は被災した日本国内の朝鮮学校に寄付されます。
そして今週土曜の28日! 東京・武蔵野では日本語版の出版を記念したコンサートが開かれます。
子どもたちが絵を描いた曲を聴きながら真夏の夜を楽しんでみませんか?
本の注文は(株)HANAまで tek 03(6909)9380 fax 03(6909)9388(瑛)
●「私の心の中の朝鮮学校」日本語版出版記念イベント&コンサート
2012年7月28日 19:30 ー20:30(開場19:00)
会場:武蔵野スイングホール(〒180-0022 東京都武蔵野市境2丁目14番1号)
※JR 中央線 武蔵境駅 北口徒歩2 分
入場料:500 円(当日受付のみ)
【第1部】・本の出版報告-ユン・チス、任キョンア
・『GAKUBI』-朝鮮学校の美術教育についてのトーク-
出演:朝鮮学校の美術教師 進行:明石薫、任キョンア
【第2部】記念コンサート
演奏出演者:苅谷麻里(ピアノ) 高木弾(ヴァイオリン) 任キョンア(チェロ)
演目(予定):ドビュッシー/組曲『子供の領分』より「ゴリウォークのケークウォーク」、川上統/組曲『甲殻』より「シオマネキ」、メンデルスゾーン/ピアノ3重奏曲 第1番 ニ短調 op.49
★「クォン・ヘヒョさんからのビデオレター上映」
問い合わせ:schola29@art.email.ne.jp 07055402513(任)