帰れない遺骨 ~沖縄取材記⑦
広告
周知のように沖縄戦は、日米最後の激しい地上戦が闘われ、沖縄全土が焦土と化し、おびただしい犠牲を生んだ。沖縄戦戦没者の遺骨は沖縄県の推定で18万8136柱。その内の約4000柱が未収骨のままだという。
イオ8月号の特集記事の中でも一部取り上げたが、今日のブログは沖縄における遺骨収集の取り組みについて。遺骨収集ボランティアのガマフヤー代表・具志堅隆松さんに伺った話を紹介する。
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」は、遺骨を収集し、家族のもとへ返す活動を行なっている。
沖縄戦の激戦地の一つである那覇市真嘉比地区では、2009年、区画整理の工事に伴って遺骨収集を行うことになった。その際に具志堅さんは、企業に任せる形の国による遺骨収集の、営利事業として遺骨収集を行う倫理的問題と、ずさんな収集方法に異を唱え、緊急雇用創出事業として遺骨収集を行うことを厚生労働省に要請した。提案は、那覇市の委託を受けたNPO法人「プロミスキーパーズ」がホームレスや生活保護受給者を雇用して遺骨収集を行うというもの。具志堅さんは「どうにかして金儲けのための遺骨収集をやめさせたかった。失業した人や困っている人に働いてもらったら、今生きている人も、亡くなった人もどちらも助けられる、遺骨収集活動でそんな絵を描けるんじゃないかと思った」と話していた。
遺骨収集には55人が参加し、09年10月から12月までの間で見つかった遺骨は、7000平方メートルから約172体分に上ったという。
企業による遺骨収集は遺骨を一体ずつ掘り起こすのではなく、機械を使って一緒くたに掘り起こすため、身元確定にはつながらないという。対して具志堅さんらによる活動は手掘りで行う。具志堅さんは「犠牲者の尊厳を考えるとき、機械ではなく手でやるべき」と話した。土の中から骨が見えたら、骨を傷つけないように竹串を使って掘っていき、刷毛で土を払う。これを繰り返し、骨だけを浮き上がらせるようにすることで、戦没者の個々がどのような最期を迎えたか確認して、供養することができるという。
遺骨収集は工事開始の期限が迫り、まだ相当数が埋まっているにも関わらず、2010年9月に打ち切りになった。
見つかった遺骨の内、遺族に返せたのはたった1体のみだという。遺骨は名前など何らかの目印となる遺品がなければ身元は確定できない。具志堅さんは「国が国民を戦場に送って戦死させたのに、その遺骨を家族のもとに帰してあげるのは当然のこと」と、遺骨のDNA鑑定を政府に要請した。だが政府は戦没者のDNA鑑定は承諾したが、遺族側のDNA鑑定は実施しようとしないという。DNA鑑定にかかる費用は総額3億。要請に応じた職員からは「3億”も”かかる」と言われたそうだ。具志堅さんは、「あまりに無責任な発言に、自分が聞き間違えたかと思った」と言っていた。また「DNA鑑定で遺骨が家族のもとへ帰れると思っているのは具志堅さんだけだと思う」とも言われたという。現在、具志堅さんは、これが全国の声であることを証明するため、政府に対しDNA鑑定を求める市町村決議を、沖縄県内で呼びかけているという。
具志堅さんは、「国は沖縄の戦後処理はもう終わったということにしたいんだろう。でも終わってないんだよ…全然」と、嘆いていた。
つい先日も県南部の中頭郡で旧日本軍兵士と思われる遺骨が発見されたと、沖縄タイムスが報じていた。
(【沖縄タイムス】「西原で遺骨3体、ガマフヤー発見、日本兵か」
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-07-27_3682
話を聞きながら、日本政府は自国の民の犠牲に対して何故かくも無責任になれるのかと、呆れを超えて不思議で仕方なかった。(淑)
どうしようも無い政府
>3億もかかる 呆れますね。日本政府の無能&ドケチっぷりが露呈した発言。我が国政府って、どうしてこんなに卑怯&ケチなんでしょうか。学費だって、先進国中一番高いし、沖縄戦の集団自決だって、事実を隠す。ここらへんは、中国や米国に似てると思います。亡くなった人やその遺族の方に、少しの誠意すら見せれないのか。国の為に亡くなった英霊の為に靖国参拝を、というのは良い。それが悪いとは言わない(別に僕は、A級戦犯を肯定してる訳ではない)。だが、沖縄で理不尽な理由で戦わされた一般市民も、また英霊ではないのか。当時の政府が命じ、またそれをお国の為、陛下の為と信じ戦われた方達は、英霊ではないのか。この扱いの差は、何なんでしょうね。陛下は、この事態を、どのように思われておられるんでしょうか。もう少し、人の命を大事に扱いなさい、日本政府よ。日本政府の二枚舌っぷりには、つくづく呆れます。