「朝鮮学校ダイアローグ2012」を見て
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先週末、岡山市にある旧・岡山朝鮮初中級学校で開かれたイベント「朝鮮学校ダイアローグ2012」に足を運びました。
「朝鮮学校ダイアローグ」とは、同校の校舎を舞台に、在日朝鮮人の若者や県内外のアーティスト、社会学者などが「ダイアローグ=対話」を通じて「もうひとつのジモトの記憶と風景」を見出すアートプロジェクトです。3回目となる今回(11月3日~11日)は、在日朝鮮人や学校にまつわる記憶やイメージを素材とした表現を校内各所で行うことで、朝鮮学校という場を見せることをテーマにしました。
美術家の作品展示、身体表現パフォーマンス、水島にある現岡山朝鮮初中級学校の生徒たちが参加したワークショップの作品展示、社会学者によるフィールドワーク資料展示、トークショーなどが主な企画内容。
イベントを主催したのは「ダイアローグ岡山」という2003年に発足したグループ。社会学研究者やアーティスト、在日朝鮮人の若者など、さまざまな背景を持つ人々による緩やかな集まりです。
展示作品の中で印象に残ったのは、美術家ソン・ジュンナンさん作の「飛び出しトンム」。近畿地方に多く設置されている「飛び出し坊や」の朝鮮学校生徒版です。(児童の飛び出し事故を防止する目的で、ドライバーへの注意喚起のために通学路などに設置されている看板のこと。飛び出し坊やのほかにも、飛び出し看板、飛び出し人形、飛び出し小僧、飛び出し注意君などさまざまな呼び方があるようです)
学校がまだ運営されていたころ、この地域ではチョゴリ姿の生徒のいる風景がありました。校門の前、道路との境界線上に立てられた「飛び出しトンム」。学校と地域の境界線上に立つ彼女は何を思うのでしょうか。
「飛び出しトンム」は校門前のものを含め校内各所に設置され、缶バッジも制作されました。1個200円で、黒と白の2種類があります。私は2つとも買いました。
ほかにも、理髪店のマークとして知られるサインポールを「セットン色」に仕上げた「朝鮮学校ダイアローグ開店中」や「スカーフをまいた雉子」、「どぶろく」を通じた地元の朝鮮人と日本人住民との交流にインスピレーションを受けて制作された「つなぎつぐもの」などバラエティ豊かな作品群が展示されていました。(相)