朝鮮の人工衛星打ち上げと日本
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朝鮮中央通信は、朝鮮民主主義人民共和国の宇宙空間技術委員会スポークスマンが1日、朝鮮が12月10日から22日の間に人工衛星「光明星3」号を打ち上げると発表したことを伝えた。4月以来の打ち上げとなり、発射場所は4月と同じ平安北道鉄山郡の西海衛星発射場で、南方に向けて打ち上げるとしている。
日本政府はこれまでと同じように、国際的に認められた権利である朝鮮の人工衛星打ち上げを「長距離ミサイルの打ち上げ」と難癖をつけ、不必要に緊張をあおり、「北朝鮮は悪い国」というイメージ拡散に努めている。前回と同じように地対空誘導弾「PAC3」部隊を沖縄に配備させる。また、北京で予定されていた朝・日協議を一方的に延期してしまった。本当に「緊張」を解きほぐしたいと思っているのなら、こういうときこそ直接話し合うことが有意義なはずだ。
日本政府のこういった対応は、愚かしいことだと思うけれど、理解は可能だ。朝鮮はアメリカとまだ休戦状態にある。アメリカは休戦後も強攻策、柔軟策を織り交ぜて、何とか朝鮮政府を押しつぶそうと躍起になってきた。アメリカの軍事同盟を結ぶ日本も朝鮮を敵視し続けてきた。現実に制裁措置を取り続けている。また、在日朝鮮人を人質のように扱って弾圧するという極めて悪質なこともやっている。日本が今回のロケット発射を利用して、朝鮮を攻撃したり悪いイメージを植えつけようとするのは、「敵」である朝鮮に対するある意味当然の行動だとも言える。
イスラエルがガザを攻撃しどれだけの一般市民を殺しても、日本政府は真剣に非難しない。アメリカ軍がどれだけ日本で犯罪を犯しても日本政府は真剣に抗議しない。イスラエルもアメリカも味方(親分)だから。愚かなことだが、単純に言うとこういうことなのだろう。
日本のマスコミの対応はもっと愚かだ。今回もこぞって、政府の尻について不安をあおっている。政府が敵対していても、きちんと事実を見て冷静に報道し政府の暴走を止めるのが、「第4の権力」と言われたマスコミの役割なのではないのか。「ミサイル発射実験とみられる「衛星」発射」とか「人工衛星とする長距離弾道ミサイル」とか、恥ずかしいフレーズを使っているのは日本のマスコミだけだ。
イスラエルのガザ攻撃についても、怒りをもってイスラエルを糾弾する日本のマスコミ報道をみることはなかった。マスコミの存在意義がどんどんなくなっていくのを日々感じる。
しかし今回、4月の打ち上げに比べて報道が少ない。一つは選挙という大きなニュースがあるからということもある。もうひとつは、4月のときは朝鮮が世界のマスコミを招待し発射場を公開するなどしたけれど今回はそれがないからだ。特にテレビは「絵」があるかないかが重要で、報道の大きさがずぶんと変わってくる。そして、発射も何度目かになり、「新鮮味」がなくなって、視聴率が取れないというのも理由としてあるのだろう。判断基準はそれくらいのものである。
ちなみに、4月の人工衛星打ち上げはイオ編集部の飲み会と同じ日に行われたが、もしかしたら今回の発射もイオの飲み会(忘年会)と同じ日になるかも知れない。ぜひ成功して祝杯をあげたいものだ。(k)