人工衛星と呼ぼう
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既報のように12日、朝鮮民主主義人民共和国が人工衛星の軌道進入に成功しました。日本のメディアでは「人工衛星と称する事実上のミサイル」という長ったらしい「正式名称」が付けられていますが、(相)さんも書いていたとおり、私も衛星の打ち上げを成功させた朝鮮の科学者、技術者たちの努力と気概を称えたい。現在、世界の国々では衛星自体は50ヶ国以上が保有していますが、衛星を打ち上げる能力は10ヶ国しか保有していないそうです。単純にすごいことです。
一昨日のイオ編集部の忘年会でも、花見のときの悔しい思い出(4月の人工衛星打ち上げと同じ日でした)を想起しつつ、喜びの祝杯を上げることができました。
ですが、こうした出来事が起こった際に、朝鮮学校や子どもたち、在日朝鮮人に攻撃の矛先が向けられる現象が必ずついて回ります。手放しでは喜べない、私たちの置かれた状況です。喜びと反比例して、とくに小さな子どもたちへの不安は募ります。
一方で4月と同じように、沖縄にはPAC3が配備されました。ニュースでは、人工衛星発射後「危険回避」のため沖縄の子どもたちが裸足で避難させられている映像が流れていたり、しきりに住民の不安の声を集めていました。選挙を控え、周到に演出された戦争ごっこを見ながら、6月に沖縄へ行ったときに、沖縄の方が話していた「沖縄の日常にはもっと危ないものがある」という言葉を思い出し、大いに鼻白んだ次第。4月のときもそうだったと聞いていますが、今回の衛星打ち上げの際も、危機管理情報を示す米軍基地の表示は、通常警戒レベルを指す「アルファ」のままだったそうです。
先日、米軍はMV22オスプレイの「本格運用」を明らかにしました。「学校・病院など人口密集地上空の飛行を避ける」などとした日米合意無視の飛行が続いているにもかかわらず。またオスプレイパッドの建設が強行されている高江では、建設に反対する集落の人々が体を張って抵抗を続けています。
オスプレイの沖縄配備を巡る時期、「本土」のテレビや新聞もこの問題を取り上げ、にわかに関心が寄せられたように思われました。しかし、相次いだ米軍による犯罪をセンセーショナルに騒ぎこそすれ、上記のような沖縄の住民らによる抵抗運動の様子をすくい上げるメディアは、ほとんどありません。何が「リアル」なのかを判断する材料すらも与えられない、人々の思考はますます貧弱化・画一化していくばかりです。
とりあえず、「人工衛星と称する事実上のミサイル」なんていう舌がもつれそうな名称はやめて、「人工衛星」と正しい名前で呼ぶことから始めよう。(淑)
Unknown
沖縄米軍基地の警戒レベル設定は以下のとおりだそうです。
ALPHA 通常レベル
BRAVO 予防措置レベル
CHARLIE テロ警戒レベル
DELTA 重大警戒レベル
日本が今回も迎撃だ破壊命令だと国内の緊張をあおりにあおったのに対して、ALPHAから動じなかったとはさすが米軍正直ですね(笑)。
この件はもっと広く日本人に知られるべきでしょう。政府情報を垂れ流すだけのマスコミはほんと目も当てられません。