2013年も!
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2012年も残すところ、あと5日。
年末に日本と韓国で行われた選挙の結果を受け、在日朝鮮人という自分自身の存在について考えをめぐらすことが増えました。
この3年間、4、5世が通う朝鮮高校は高校無償化からはじかれ続けてきましたが、明々白々なこの差別が、いま現在も「朝鮮学校は北朝鮮とつながりがあるから、血税は出さん」というヒステリックな感情とともにまかり通っているからです。
民主党政権は、「審査再開」を決めるも、朝鮮高校への無償化適用を最後の最後まで決めず、政権を投げ出し、そして昨日、自民党の第2次安倍内閣が発足しました。沖縄へのオスプレイ配備について「沖縄に民主主義はない」という言葉を残した方がいましたが、在日朝鮮人には法律もまともに適用されない、というのが正直な実感です。
朝鮮学校の教育内容は偏った形で報じられ、それが人々の見方をますます凝り固めてしまった。権力をにぎった政治家たちが、社会的に立場の弱い朝鮮学校の子どもや在日コリアンをバッシングする――といった「先進国」では考えられない事態がまかり通る日本。「わが子が誇りを持てる民族教育を」と、朝鮮高校生やその保護者が声を振り絞り、「一刻も早い審査結果を」と訴えた声もむなしく、2012年は終わりを告げようとしています。
在日朝鮮人の1世は、日本の植民地支配の結果、日本で暮らすようになり、植民地支配時に自分の名前と文化を奪われた悔しさから、異国での民族教育を始めました。どんなに貧しくても、それが人間の尊厳を取り戻すために必要だということを骨身にしみて感じていたのが私たちの1世でした。
しかし今、日本では他国を武力と暴力で踏みにじり、植民地化したその歴史を隠蔽する多くの政治家が国会議員に当選しています。歴史認識がすっぽり抜け落ちた人たちを前に、私たちは、この差別と不条理をどんな言葉で伝えればいいのでしょうか。朝鮮学校への差別は日本とともに、アメリカ、韓国(特に軍事政権時)もその片棒を担いできただけに、問題は複雑です。
対朝鮮制裁とセットで在日コリアンへの人権弾圧を重ねた安倍政権に強い警戒感を抱きつつ、それでもこの失われた10年の間、イオの誌面に原稿、写真、エールを送ってくださった皆さんを思い出します。
朝鮮高校の無償化排除から2年を越えた今年7月。
イオは「高校無償化をあきらめない」と題した特集を組みました。巻頭の座談会に登場いただいた元日本学校教師の森本さんは、ご自身の発言が詰まったイオを100冊近く、仲間たちに配ってくれました。今も各地の朝鮮学校を訪れ、ご自身の「目」で在日朝鮮人の民族教育を学んでおられます。
確かなつながりを手がかりに、在日コリアンの皆さんの暮らしが少しでもよくなり、日本の皆さんと楽しい交流を重ねられるよう、2013年も温かいニュースを届けていきたいと思っています。
2012年もブログをご愛読いただき、ありがとうございました。(瑛)