オスプレイ本土訓練と辺野古埋め立て
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在沖米軍基地をめぐる、ここ最近で気になった二つの動きについて。
今月6日、米軍は新型輸送機MV22オスプレイの「本土」では初となる飛行訓練を行った。普天間基地から飛び立ったオスプレイは、山口県の岩国基地を拠点に四国から紀伊半島上空で、低空飛行や夜間飛行訓練を行ったとされている。
「沖縄の負担軽減」と印象付けようとする報道が目についたが、地元紙が批判しているように(オスプレイ本土訓練 この程度で負担軽減とは/3月4日付琉球新報社説 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203502-storytopic-11.html)、本土での訓練はわずか3日間、12基中の3基であり、連日のように全土で飛行訓練が行われている沖縄の現状を軽減したとは到底言えない。訓練の内容としても、固定翼モードで上空をただ飛び過ぎるのとヘリモードで離着陸やホバリングを行うのとでは、爆音の大きさも危険性も比にならないという。また、普天間基地周辺市街地上空の飛行は既成事実化しつつあり、日米が配備の前提として「安全宣言」で順守すると強調した合意事項は守られていない。
この度の「本土」訓練は、オスプレイの強行配備の横暴さ、米軍基地のあり方そのものを、日本社会が当事者意識を持って自らに問うものにならなければいけない。
昨日の17日、宜野座村城原区でオスプレイの撤去を求める総決起大会が開かれるなど、強行配備から5ヵ月、住民らの取り組みはなお続けられている。
他方は、辺野古への基地移設をめぐる問題だ。
名護漁協は11日、普天間基地の辺野古移設に伴う公有水面埋め立てについて同意することを賛成多数で決めた。日本政府は同日、今月29日にも仲井真沖縄県知事に埋め立て許可を申請する方針を固めたが、県知事をはじめ県議会、全市町村議会にいたる沖縄全土が辺野古移設に反対しており、総意はすでに示されている。
名護市や住民の意向を無視した漁協の問題も看過してはならないが、根底に横たわっているのは日本政府による分断政策だ。辺野古移設に反対する稲嶺市長が誕生し、基地再編交付金(基地建設に対する協力の度合いに応じて自治体に支給する交付金)が打ち切られるなど、政府の政策がコミュニティに対立と分断をもたらしてきた。
先日、宮森小学校米軍機墜落事故に関するある映画を鑑賞した。
「ひまわり~沖縄は忘れない、あの日の空を~」(http://www.ggvp.net/himawari/)
映画の詳しい内容はイオ4月号(本日発刊)で紹介しているので割愛。
作品の焦点は米軍機墜落事故だが、沖縄戦から米軍施政下、そして基地沖縄の現在までを網羅したスケールの大きな作品で、より広く観られることで、沖縄の現状に対する無理解を是正する一助となり得るといえる。登場人物の台詞一言一句、映像の一つひとつに付与された意味を、沖縄の声として噛み締めながら観てほしい。(淑)