平和のトゥルミ
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ウリクムウリマウム(우리꿈 우리마음)プロジェクト―。
小さな折り紙で作った色とりどりのトゥルミ(두루미、鶴)が、北海道はもちろん朝鮮学校のない佐賀県、海を越えた平壌やソウル、アフリカ・ガーナに暮らす同胞からも群馬に届けられていました。
朝鮮高校への無償化適用を求める一人ひとりの思いを文部科学省や国連に届けようと、このプロジェクトを立ち上げたのは、群馬朝鮮初中級学校のオモニたちです。先日、各地から集まった鶴の集計作業を行うオモニたちを取材してきました。
スイス・ジュネーブでは、来る4月末から国連・社会権規約委員会で12年ぶりの対日本審査が行われます。ジュネーブに折鶴を届けようと2月初めに各地に呼びかけた所、日本や世界各地から届けられた「平和のトゥルミ」は3万1726羽(4月6日現在)。国連に代表を送るワンコイン募金も500万円を超えたそうです。
「鶴を届けてくれたある方が『無償化運動の敷居を下げてくれてコマスミダ』と手紙に書いてくれたけど、こんなに集まったのは、誰もが気軽に参加できたからかな」と群馬ハッキョに3人の子どもを通わす河在淑さん(39)。
3万羽の鶴が束になってまとめられている様子を見ると、最初はたった一人でも、その気持ちを集めていけば、いつか大きな山が動いていくのではないか、という実感がこみ上げてきました。無償化排除や補助金カットで不安や孤独感がうずまくなか、意を決してこのプロジェクトを立ち上げてくれた群馬のオモニたち、コマスミダ!
群馬ハッキョには、各地のオモニ会、朝高生、同胞たちから「私たちの分まで」と思いを託した手紙や作業を労う菓子折りが鶴とともに続々と送られています。
国連社会権規約委員会に代表を送ることが発表されたのは昨年9月の第9回中央オモニ大会。大会に参加した群馬のオモニたちは裁判闘争をたたかう大阪や愛知の女性たちの姿につき動かされたといいます。
「群馬に朝高はないけど、何かしたい、しなきゃという思いはくすぶっていました。各地の頑張りにオモニたちの力を合わせれば『世界を動かせる』と真剣に思ったんです」と語るのはオモニ会副会長の金敬淑さん(40)。「今日本で戦争は起きてないけど、国の差別で子どもたちが傷つけられている今を平和とは言えない」。チョウ・スンフィ会長(46)も、「状況が厳しいからこそ、勝ち取れればより大きな力になる。私たちの誇りになる。JR定期券割引率の差別をなくすためにもオモニたちは8年も闘ったというから…」と長い闘いを見据えていました。
昼夜をたがわず鶴に糸を通し続けている群馬のオモニたち。作業が追いつかず、ネコの手も借りたいほどだそうです。思いをつなげた「平和のトゥルミ」は、4月末にも文部科学省や国連、裁判闘争や補助金の継続支給を求める各地方に届けられます。 (瑛)
募金口座:ハナ信用組合上野支店(普)1125842 ウリクムウリマウムプロジエクト