他者との交差点に立つ
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2013年から、「交差点~日本の中のマイノリティ」というエッセイを連載しています。
日本社会における、さまざまな社会的少数者や弱者に、現在日本社会の中で置かれた状況や抱える痛み、自身と在日同胞社会との関係性などをそれぞれの立場から発信してもらうという企画です。これまで5回掲載されましたが、以下の方々にご登場いただきました。
1月号は、被差別部落出身で、在特会などの日本におけるレイシズムについて研究されている藤岡美恵子さん。
2月号は、北海道・アイヌ民族の多原良子さん。幼い頃の在日朝鮮人との思い出についても書いてくださいました。
3月号は、沖縄出身の当真嗣清さん。当真さんが代表を務める琉球弧の先住民族会では琉球民族の主権回復を国際社会に訴えながら活動をしています。
4月号は西本マルドニアさん。31年前にフィリピンから日本に移住されて、現在はカラカサンという、DVや在留資格、子どもをめぐる問題など、移住女性たちが抱える問題の解決に向けて活動する団体の共同代表を務められています。
そして先日できあがった最新号・5月号は、セクシュアルマイノリティ当事者として、映画の上映会をはじめとした社会活動をされている島田暁さんです。レインボー・アクションという団体の代表です。
私たち在日朝鮮人は日本において民族的マイノリティではありますが、もちろん私たち以外にも多様な境遇の方々がいます。抑圧構造の中、権力に対して尊厳と権利を主張する私たちだからこそ、なおさら、私たち自身も「誰かの足を踏んでいる」という自覚を持ち、そのことにきちんと心を痛められる想像力を携えていたいと思います。
エッセイはそれぞれ、当事者の立場から思いが綴られており、私も読みながら毎度勉強させてもらっています。これまで「見逃していた!」という方は、ぜひバックナンバーを遡って読んでいただきたいです。
ちょっと脱線しますが、先週観た映画2作。
「過去のない男」(2002年/フィンランド/アキ・カウリスマキ監督)
「海と大陸」(2011年/イタリア・フランス/エマヌエーレ・クリアレーゼ監督/岩波ホールにて上映中)
前者は、フィンランド・ヘルシンキが舞台。一切の記憶を失った一人の男がさまざまな人々と心を通わせていく中で自己を再構築していく、といった物語です。
後者は、地中海に浮かぶリノーサ島を舞台に、そこに暮らす一家と、難民の母子の心の交流を描いた人間ドラマ。
マイノリティをテーマにした作品ではありませんが、どちらも社会の底辺を生きる人々の営みを描いた作品と言う点で共通しています。個人的には前者がより人々の生活や精神世界を丁寧に描写していた気がします。興味のある方はぜひ。(淑)
Unknown
マイノリテイに生まれていなければ、他者の痛みにももっと鈍かった。
そう思えば、あらゆる経験は無駄ではないですね。自分をしっかり見つめていかなくては、と思いました。ありがとうございます。
pomiさまへ
pomiさま、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、自分をしっかり見つめながら、経験を無駄にせず多様な場で活かしていけたらいいですね。