「高校無償化」問題、4年目も続く文科省要請
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昨日、北海道から九州まで日本各地にある朝鮮学校オモニ会の代表ら23人が文部科学省を訪れ、下村博文大臣にあてた「朝鮮学校への『高校無償化』制度即時適用を求める要望書」を提出しました。
同時刻、文科省前には東京都下の各朝鮮学校オモニ会のメンバーたちが横断幕とビラを手に街頭宣伝を行っていました。
文科省の担当者と面会した席で、オモニ代表たちはそれぞれの切実な思いを訴えました。「『拉致問題』と『無償化』をリンクさせるのは『江戸の敵を長崎で討つ』ほど筋違いなこと」「文科大臣と直接会って、私たちの思いを伝えたい」「(文科省の役人たちは)ぜひ朝鮮学校を訪れてほしい」「(無償化が)適用されるまでたたかう」などなど。
朝鮮学校児童・生徒たちのメッセージを読み上げながら涙ながらに担当者に訴えるオモニ、それを黙って聞く他のオモニたちの目にも涙が浮かんでいました。それは悲しみの涙なのか、悔し涙なのか―。これまでこのような光景は要請活動の場で何度も目にしました。
要請活動の後は、衆議院第2議員会館に場所を移して、今月28日から国連社会権規約審議委員会参加のためジュネーブを訪れるオモニ代表団の記者会見、院内集会と続きました。今までどれほど多くの要請や記者会見、院内集会が開かれてきたでしょうか。もうこれ以上回数を重ねてはいけない、そんな思いをあらためて強くしました。
以下、昨日オモニ会代表らが提出した要望書の全文を紹介します。
昨年暮れの総選挙で誕生した安倍政権は、朝鮮学校を除外するため、早速「高校無償化」の省令「改正」に踏み切り、朝鮮学校生徒に「高校無償化」を適用しない決定を下しました。
下村文科大臣は、「拉致問題に進展がないことおよび朝鮮総聯との関係」をその理由に挙げ朝鮮学校を排除しました。
そもそも「高校無償化」制度の趣旨は、「すべての者に対して教育の機会が与えられるものとする」国連社会権規約の理念に基づき、「すべての意志ある高校生などが安心して勉学に打ち込める社会を作るために、家庭の教育費負担を軽減すること」にあったはずです。
しかし、2010年3月に「高校無償化」関連法が成立して以来、民主党政権下において朝鮮学校の生徒だけが無償化の対象から外されるという差別的状況が続き、安倍政権によって朝鮮学校を完全に排除されました。
私たちは驚きとともに怒りを禁じえません。
下村文科大臣は、「どんな人にでも誰でも、頑張れば報われる社会を作りたい、そのためにしっかりとした教育立国をつくりたい」「学ぶことは権利である。機会の平等はみんなに保証すべきでないか」とおっしゃっています。
朝鮮学校の子どもたちは大臣のおっしゃる「どんな人間」にもあてはまならいのでしょうか。「機会の平等」や「学ぶことは権利」であるということは朝鮮学校の子どもたちには無関係だということでしょうか。
「高校無償化」制度を日本人学校だけでなく、インターナショナルスクールや中華学校など39校の外国人学校に適用しながらも、朝鮮学校だけを排除していることがその答えなら、私たちは強く、強く抗議します。
日本政府と文科省のこのような朝鮮学校排除、人権蹂躙の動きは、東京、大阪をはじめとする地方自治体で、従来支給していた朝鮮学校への補助金を停止するという由々しい事態まで引き起こしています。
日本政府が私たちに日本国民と同様の納税義務を課しながらも政治問題を理由に朝鮮学校の子どもたちの学習権利、民族教育権利を侵害することは社会的「いじめ」であり、国連諸機関が日本政府に対し教育の権利に対する差別的な取り扱いについて繰り返し懸念を表明していることに対する挑戦であることは明々白々な事実です。
子どもたちの尊厳が踏みにじられることをオモニたちはこれ以上絶対に座視することはできません。
私たちは日本政府と文科省が、子どもの権利条約をはじめとする複数の人権条約を批准した国家として、子どもの教育に対してこのような差別的方針を撤回し朝鮮高校生徒への無償化を一日も早く実施することを強く求めます。
この3年間、日本全国の心ある日本の方々があたたかい支援と声援を寄せてくださいました。私たちはこれからも日本の皆さんと固く手を結び差別が撤回されるその日までたたかい抜きます。
いま一度、朝鮮学校生徒への「高校無償化」制度の一日も早い適用を強く要望します。