柳美里さんの文章
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昨日、(麗)さんが紹介してくれましたが、月刊イオの7月号が完成しました。月刊イオのHP(https://www.io-web.net/)も新しい内容に更新しています。
イオのHPにもアップされていますが、柳美里さんの連載「ポドゥナムの里から」の7月号のタイトルは「わたしは、Twitterをやめました」です。柳さんがTwitterをやめた理由は、Twitter上で見ず知らずの匿名の人から「チョン死ね」「早く日本から出て行け」などと罵詈雑言を浴びせられることに、「ほとほと嫌気がさした」からだといいます(詳しくは月刊イオの連載を読んでください)。
16日の日曜日にも東京・新大久保のコリアタウンでは排外主義たちによる朝鮮人排斥を目的としたデモが繰り広げられました。日本のマスコミも「ヘイトスピーチ:在日コリアン排斥 毎週のようにデモ」と伝えており、「日常の風景」のようになってしまいました。
わたしは以前、日刊イオの「ヘイトスピーチの中での集会とパレード―朝鮮人弾圧の65年前と今」という文章の中で「こんなに人間の尊厳を傷つけられてまで、集会やパレードをやる必要があるのかとさえ思った」と書いたことがあります。
Twitter上で罵詈雑言を浴びせられているのは、柳美里さんだけでありません。多くの朝鮮人が同様の被害を受けていて、わたしの知る人の多くがTwitter上から姿を消したり政治的な発言をしなくなったりしています。ついでに言うと、Twitter上で排外主義者と「議論」を交わす人々を見かけますが、時間と労力の無駄だと思っています。まあ、Twitterで何かを議論しようということ自体が無理なのかと思います。
さらに最近、アメリカの政府機関がインターネット上の個人情報や通話記録などを大手IT企業を通じ収集していたことが、アメリカCIA(中央情報局)の元職員の暴露によって明らかにされました。情報の収集元は、フェイスブック、ヤフー、グーグル、アップルなどだとされています。
個人の情報は公開されていようが非公開であろうが、権力を握っている者には筒抜けになると思っていて間違いはなさそうです。
排外主義者の台頭は、社会福祉の切捨て、労働者の権利の縮小、格差の拡大、監視の強化、そして朝鮮人・朝鮮学校への弾圧など、権力者たちが作ろうとする社会が生み出した一つの現象だと言えるでしょう。庶民から搾り取ることだけを露骨に進める。この社会の閉塞感、圧迫感、周りを取り巻くもやもやした不快感が、個人的にちょっと耐え難いものになってきています。「高校無償化」からの朝鮮学校除外に対し賛成したり何も反対のアクションを起こさない国会議員が、新大久保などでの排外主義者たちの行動を批判するのを見ても、げんなりとしてしまいます。
人が普通に生活し、生活の中で普通に喜びを見出せる、そんな世の中にするためにはどうすればいいのか。
柳美里さんの書いたものを読んでいると、そのために書き続けるのだという強い意志をいつも感じさせられます。強い意志を持って、それぞれのできることをそれぞれの場でやることが大切なのだと、いつも力をもらっています。(k)