知ってるつもり
広告
今月も残すところあと1週間。暦上では秋が近づいており、この暑さも段々と和らいでいくかと思うと少しほっとします。ただ、同時に締切りまでの日数を数えてみるといつまでもほっとしてはいられません。お盆休みで頭を空っぽにしてきたので、ばちっと切り替えていこうと思います。
10月号の特集のテーマは福祉です。参考のため福祉関係の本や施設のHPを探していて、東京・高田馬場にある日本点字図書館のサイトに行きつきました。ふと目がとまった「随筆随想コンクール」というコンテンツを開くと、第47回から50回までの入選作品が掲載されています。ここでは全盲の方や目の不自由な方が自分の経験や思いを綴っていました。とてもほほえましく心が温かくなるものや力強いものなど内容が様々で、また文章がみな個性的で面白く、続けて何編も読んでしまいました。
私は大学4年の頃にハンセン病患者の施設を見学しました。施設を回りながら、それまでハンセン病についての認識は名称だけで、それ以上知ろうとしてこなかったことをとても反省しました。その施設ではハンセン病患者のインタビューが見られるのですが、社会的に切り捨てられ辛い思いをしたと多くの方が語っていました。その中でも在日同胞の患者は2重の差別を受けたといいます。その実習がなければ、本当はすごく身近なところに暮らしている方たちの生活や思いをハンセン病という言葉で一括りにして、目を向けないまま通り過ぎてしまうところでした。
エッセイを読みながらそんなことを思い出すとともに、日常で通り過ぎてしまいがちなことがまだまだたくさんあると感じました。特に福祉は今までなかなか身近に感じる機会がありませんでしたが、それもただ自分が福祉というものをぼんやりと知っているつもりで通り過ぎてきたからです。高齢者・障がい者とその介助者のみならず、制度についても今の自分には直接関わりがないからと勉強を怠ってきました。しかし、その制度で生活が大きく左右される人も大勢います。まずは自分の認識の低さを知ること、その次はきちんと学ぶことが課題だと思いました。今回の取材を機に勉強をして、少しでも多くの人の話を聞きたいです。(理)