絵本原画展と似顔絵
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先週、先々週と土曜日に渋谷で行われていた「絵本原画展 ふるさと60年」(ギャラリーTOM、9月7~23日)という展覧会に取材を兼ねて行ってきました。
絵本原画展は、福音館書店が創立60周年の記念出版として出した絵本「ふるさと60年―戦後の日本とわたしたちの歩み」の原画を展示したものです。1946年から未来まで、ある町の変貌と文化や人々の暮らしの変化を定点観測の手法で描いた絵本で、その原画が展示されました。その原画を描いたのが、在日同胞の金斗鉉さんで、金さんの取材ために訪れたのでした。
原画は、畳の3分の1ほどの大きさで、非常に緻密なもので、1946年から5年ごとに町の変化が描かれていました。時代が進むごとに道路が舗装されたりビルが建ったり川が埋め立てられたりしていきます。自分が小さいときに走っていた三輪の自動車が描かれていたりして、昔はこんなだったと、懐かしい気持ちにもなりました。
作者の金さんは、朝鮮戦争が停戦になった直後にソウルで生まれました。18歳の時に日本に母親と渡ってきたそうです。絵本原画展では、別室に金さんが描いた李王朝時代の朝鮮を描いた絵も展示されていました。それが、絵本の原画とはまたガラッとタッチが違い、非常に民族性の溢れた素敵な作品群でした。金さんは40歳ごろから、無性に祖国の絵を描きたいという思いにかられるようになったそうです。なぜそうなったのか?
金斗鉉さんについては11月号の月刊イオに掲載する予定です。ぜひご覧ください。
ギャラリーでは金さんが希望者に似顔絵を描いていました。会場には顔見知りの在日同胞がけっこう来ていたのですが、だいたいが似顔絵を描いてもらっていました。一人10分ほどの時間で見事に似顔絵が出来上がっていました。金さんが描くペン先を見ていると、「迷い」というものがないんですね。何十年という蓄積がなせる技だと感心しました。
私は取材で訪れていたので、似顔絵を描いてもらうつもりはなかったのですが、みんなが次々と希望し、次々と完成していくのを見ていてうらやましくなったのと、ぽっかりとギャラリーに誰もいなくなった時間があったので、描いてもらうことにしました。これまで、似顔絵を描いてもらったことは1回もありません。中学1年のときの美術の期末試験で鏡を見ながら自分で自分の似顔絵を描いたくらいです。
どのような似顔絵になるかとわくわくしていました。恥ずかしいですが、完成した作品をアップしたいと思います。同僚に見せると、非常に似ているとのことですが、自分ではよくわかりません。金さんが描く多くの似顔絵を見ていてわたったのは、女性も男性も、10~20%は美化して描いていることです。私の似顔絵もそのつもりでご覧ください。(k)