「オンマ」「アッパ」という言葉
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子どもを預けて働きはじめて、思うことがあります。
それは「オンマ」「アッパ」という言葉をどこまで使うか。
私たち在日同胞は家では「ママ」「パパ」のことを「オンマ」「アッパ」といい、
家でも当たり前のように「オンマ」「アッパ」という言葉が飛び交います。
もちろん「ママ」「パパ」とはいいません。
子どもも「ママ」「パパ」という言葉よりも
「オンマ」「アッパ」という言葉がわかるようになってきました。
でも、預け先は日本人の保育士さんたち。
まわりの子どもたちも日本人の子が多数で「ママ」「パパ」というのが当たり前です。
そういうわけで、預け始めのときは私自身も違和感なく預かってもらえるように、
日本人保育士さんたちが使う「ママ」「パパ」という言葉を連絡帳などにも使っていました。
ところがある日、迎えにいったとき「オンマきたよ~」という言葉がふいにでていました。
その私の言葉を聞いてある先生が言ったのです。
「やっぱり在日の人たちは『オンマ』『アッパ』というのね。
私の友達も在日の人がいてね、やっぱり『オンマ』『アッパ』と呼び合ってたから、
それがきっと自然よね」。
それを聞いて、なにか肩の荷がおりた感じがしました。
それからは連絡帳でも自然に口をついてでる「オンマ」「アッパ」という言葉を使うようになりました。
それが子どもにとっても私たちにとっても一番自然な当たり前な言葉だからです。
「オンマ」「アッパ」という言葉を使うようになると、保育士さんたちも「オンマ」「アッパ」と言ってくれるようになりました。
もう少し言葉がわかり話せる年齢になると、保育園と家で言葉を使い分ける子がいると聞きます。
もしかしたら、そうなるかも知れませんが、
それは二つの言語を理解している証拠なのでしょう、成長のしるしなのかも知れません。
そしてそのふたつの言葉を理解することによって、自分が在日朝鮮人なんだと気づいていく、
その第一歩なのだと思います。
そのときが来たらどうやってそういったことを教えていけばいいか
まだわかりませんが、
いまできること、「オンマ」「アッパ」という言葉を垣根なく使っていきたいと思います。(愛)