秋の夜長に映画
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10月も半ばに差し掛かるというのに真夏日が続いていますが、変わりやすいのが秋の空。厳しい日差しでも、肌に感じるそれは夏のものとは違います。
最近、映画熱がふつふつと再燃して、ぽつぽつ観ています。
先日は渋谷で行われた上映会に足を運びました。
「労働者 前へ! PAME全ギリシャ戦闘的労働戦線」という作品。ギリシャ共産党とPAME(全ギリシャ戦闘的労働戦線)の活動を追ったドキュメンタリーで、労働者を犠牲にする資本の危機乗り切り攻撃と闘うギリシャの労働運動の現状を活写しています。
ギリシャといえば2009年政権交代を機に始まった経済危機やデモなどの騒乱のイメージがぱっと浮かびます。しかし建設労働者の集会、海員組合、造船、飲料産業、乳業などの労働組合の活動家たちへのインタビューからは、ステレオタイプなイメージとは違う、厳しい現状下でも躍動感みなぎる運動、明るくたくましい人々の姿を感じ取ることができます。
作品が伝えようとする「日本もギリシャのように立ち上がれ」というメッセージは明快です。
時折ギリシャの街角やデモのもよう、労働組合の活動家と日本の訪問団が交流する映像などが挿入されますが、基本的には活動家らにクローズアップし表情に肉迫しながら、淡々と、進みます。通訳を介しながらコミュニケーションをはかる様子も印象的で、字幕を極力入れない形で、ありのままを見せることで連帯の過程も示したかったのではないでしょうか。ドキュメンタリー映画の手法としても興味深い作品でした。
先月は、1926年作・羅雲奎の「アリラン」のリメイク版、「アリラン2003」を観ました。本作を観たのは2度目ですが、拷問の末「狂人」と化した主人公・ヨンジンが狂喜乱舞する場面には、ただただ悲哀が押し寄せてきます。
古い映画といえばオードリー・ヘプバーンの代表作、「麗しのサブリナ」「ティファニーで朝食を」「パリの恋人」の3作がデジタルリマスターされ期間限定で劇場公開されています。いずれも小学校の頃に観た作品ですが、やはり劇場で観たい。大学1年の頃、当時のルームメイト4人を誘って、デジタルリマスターされた「ローマの休日」をスクリーンで観たときは、眼前に広がるアン王女の愛くるしい仕草一つひとつに、お気に入りの名場面たちに心が踊りました。
秋の夜長、次の〆切前のドタバタがやって来る前に、良作をまとめて観たいと思います。(淑)