自宅で映画
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12月号でドキュメンタリー映画についての特集を組んだ。特集の対談に登場していただいたドキュメンタリー映画監督の松江さんは今年映画を500本も観たそうである。それに触発されたこともあり、最近、レンタル店でDVDを借りて自宅で映画を見ることが多い。この前は「チャンプ」という映画をレンタルして見た。私が見たかったのではなく、息子が見たいとリクエストしたので借りてきたのだ。1979年公開のこの映画になぜ息子が興味を持ったのかはわからないが、そこはあまり突っ込まなかった。
主役の父親役はジョン・ヴォイトで、「真夜中のカーボーイ」(69年)、「オデッサ・ファイル」(74年)、「コンラック先生」(74年)と、若い頃のジョン・ヴォイトには名作がたくさんあり、昔は好きな俳優だった。母親役はフェイ・ダナウェイ。フェイ・ダナウェイと言えば「俺たちに明日はない(ボニーとクライド)」(67年)という超名作がある。「チャンプ」でもフェイ・ダナウェイの演技のうまさが光っていた。
「チャンプ」は私が大学時代に公開されて話題になった映画だ。でも、当時、観たのか観なかったのかあまり記憶が定かでない。しかし、学生寮で友人とこの映画について話したことは強烈に覚えている。「「チャンプ」はすごく良かった」という友人に対し、同じ年に公開された「クレーマー、クレーマー」(79年)を引き合いに出して、次のようなことを言った。
「「クレーマー、クレーマー」は離婚問題や親権の問題、父親の育児など社会問題を描いているのに対し、「チャンプ」はただ、「アボジが死んで悲しい」というだけ。泣かせるためだけの映画にすぎない」。
これだけ「チャンプ」をけなしていたのだから、たぶん当時、ちゃんと映画を観ていたのであろうと思う。
そして今回「チャンプ」を見ての感想は、学生時代のものとまったく同じであった。
レンタルDVDで困るのは、人気のある作品は再生回数が多いからなのか、DVDが劣化していて、途中で画面が乱れたり場面が飛んだりストップしたりといったトラブルが多いことだ。ちょっと前も「スタンド・バイ・ミー」(86年)を見ていたら、画面が乱れついには途中で再生できなくなってしまった。
膨大な作品のDVDをすべてチェックするのは難しいだろうが、前に借りた人もクレームをつけているはずなので、レンタル店はきちんと対処してほしいと思う。多少、画面が乱れるくらいは我慢できるが、完全にストップしてしまうのはあんまりだ。
それはさておき、映画を借りる時は、気になっていた比較的最近の映画と昔の名作と呼ばれる映画の2本を借りることにしている。作品として感銘を受けるのは、やはり昔の映画だ。名作と呼ばれる作品は、時代がたっても色あせず、光を放っている。まだ見ていない名作を見ることもあるが、どちらかというと10代、20代のころに見た作品をもう一度見る(息子に見せる)ことが多い。
今日たまたま名前が挙がった映画は、「コンラック先生」以外有名な作品なので、観た方も多いことだろう。まだ観ていないなら、「チャンプ」もふくめ(ネタばれしてしまったけれど)見て損はない作品だと思います。お勧めです。(徹)