安重根を「犯罪者」と言う犯罪国家
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今年から月刊イオでは「朝鮮、その時」という歴史物の連載をスタートさせている。第1部は「日本の植民地統治」として日本が朝鮮に対する侵略を開始してから1910年に完全に植民地とするまでを辿り、現在は第2部として「植民地期の朝鮮」を連載中だ。
第1部は、朝鮮がいかに日本の植民地へと転げ落ちていったのかを解説しているわけだが、1部の最後に安重根による伊藤博文の射殺について書かれている(8月号)。
少し前から、韓日で、安重根をめぐりもめていることがニュースとなっている。安重根が伊藤博文を射殺したハルビン駅(現・中国黒竜江省)に記念碑を作るよう、韓国が中国に働きかけたことに対し、日本政府が反発したことによる。菅義偉官房長官は11月19日の記者会見で「わが国は、安重根は犯罪者であると韓国政府にこれまでも伝えている」と語り、「このような動きは日韓関係のためにならないのではないか」とのべた。官房長官の発言はすなわち日本政府の見解であり、日本は安重根を「犯罪者」「テロリスト」と見なしているということである。
これに対し韓国側は、当然のことに反発し、「(安重根は)わが国の独立と東洋の平和に命をかけた方だ。犯罪者という表現は大変遺憾だ」(外務省の報道官)と菅氏の発言を批判している。
月刊イオの連載「朝鮮、その時」の第8回「東洋平和を説いた安重根と日本の韓国強占」で、筆者は次のように書いている。
「安(重根)は裁判で、皇帝廃位・軍隊解散・良民殺戮・利権奪取・東洋平和の撹乱など15項目にわたる伊藤の罪を列挙して糾弾し、自らを「義兵の参謀中将」と名乗り、テロ行為の殺人犯としてではなく捕虜として扱い、「国際公法をもって判決」すべきだと求めました。」
日本が朝鮮を植民地にすること自体がたいへんな犯罪であるし、その過程で、日本は殺戮、略奪など、数々の犯罪行為を働いてきた。 それに対し当然、朝鮮の人々は抵抗し、中には義兵軍を組織して武力で日本と戦う人々もいた。安重根もその一人であったわけだ。安重根にとってみれば、戦争相手の敵の頭目である伊藤博文を射殺することは当然の行為である。安重根が一般の日本人を無差別に射殺したのなら犯罪者とされても仕方がないかもしれないが、伊藤博文を射殺したのは、朝鮮民族にとって何も悪いことではない。今も安重根が義士として尊敬されているのも当然のことだ。
日本が安重根を「犯罪者」というのは、日本が朝鮮を植民地にしたことを何も悪いことだと思っていないということの表れであり、今も反省していない証拠である。犯罪を犯罪と思っておらず、今も犯罪を継続しているということだ。
今回の出来事について、日本のマスコミは「歴史観の違い」などと報道しているが、こんな馬鹿げた報道もない。歴史の中で「どっちもどっち」という争い事もあるだろうが、安重根に対する評価が「歴史観の違い」で変えられるものではない。明確に悪は伊藤博文であり日本なのである。どっちもどっち的な報道をすることは、歴史の歪曲に手をかすことに他ならない。
「憎悪の連鎖を断とう」とか「未来志向で」とかと言うが、明確に加害者と被害者がいるわけで、憎悪の連鎖を断ち未来に向かうためには、加害者側がまず、明確に謝罪し補償し2度と繰り返さないと誓わなければならない。
この原稿を書いているときに、与党の自民、公明両党が衆院国家安全保障特別委員会で、特定秘密保護法の4党修正案の採決を強行し可決させたというニュースが飛び込んできた。
日本はどんどん、戦前の姿に戻りつつあるように思える。
かたや韓国も、朴槿惠政権発足後、どんどんと「維新時代」に逆戻りしている。
今回の安重根をめぐる騒動も、国内政治から一般国民の目をそらせるための、韓日両政府が仕組んだ茶番劇ではないかとも思えてくる。(k)
Unknown
(K)さんのご意見にまったく同意いたします。ネット上のあちこちでは恐ろしい勢いでこのトピックに関する「テロリスト/殺人犯」論が吹き上がっていますが、やはり「朝鮮植民地支配とは何であったのか」の検証をすっとばしてあれこれ論じるのが「お約束」状態ですね。「日刊イオ」も、承認制をとってなければコメント欄が大変なことになったでしょうね(笑)。
下にURLを貼っておいたブログでも安重根についての記事が上がりましたが、短期間にコメント数100を突破しました。「炎上案件」ででもないかぎり、政治・社会系ブログとしては驚異的な書き込み率だと思います。よろしければご一読ください。
d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20131119/1384901432#c
Kim Shirlyさまへ
いつも、コメントありがとうございます。
ご紹介いただいたブログを読ませていただきました。確かにコメント欄の議論が興味深いですね。参考になりました。
毎月ありがとうございます
安義士の崇高な魂は、朝鮮民族の誇りです。
ずるいすり替え
こんにちは、いつも興味深く読ませて頂いています。日刊イオは、いろいろ個性が感じられて、例えば「Kさんは比較的重厚な内容が多い」ように見受けられるなど、楽しみにしています。( <---この部分は、ブログに公開して頂いても、公開して頂かなくても結構です。もちろん、全文を公開して頂かなくても結構ですが。いずれにしても、公開する場合は、()カッコ内は削除して頂いて結構です)
近年自民党は、外国が各種記念碑などを作る事にいちゃもんつけるのに忙しいようですが、横暴な植民地支配を行なった卑劣な日本の抑圧者と、その悪質な抑圧を成敗するために立ち上がり自由のために反撃した闘士を、同列に扱い、あたかも「どっちもどっち」であるかのようにこっそりすり替えようとするマスコミの卑怯な手法は、まさに歴史の歪曲に手を貸すことだと考えます。
最後の、茶番劇という視点は、いろいろ興味深く思いました。
Unknown
安定を保った朝鮮を破壊した日本
義は朝鮮にある
しかしながら日本では犯罪者扱いである
はでに周辺国を侵略し
殺しまくったのは日本であろう
人々はそろそろ理解しなければならない、加害
者は日本人であることを