今、神奈川県・川崎市の補助金は―
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12月に入り、神奈川県では外国人学校への補助金問題をめぐる二つの大きな動きがありました。ひとつは、日本全国の自治体の中で抜きんでた外国人施策を進めてきた川崎市の福田紀彦新市長が10日、本年度の市内の朝鮮学校への補助金交付を見送ることを明らかにしたのです。
一方、朝鮮の核実験を口実に、今年2月に神奈川朝鮮学園への補助金を止めていた神奈川県が、外国人学校に在籍する子どもたちへの新たな支援制度を検討すると発表(11日)。今まで各学校に対して支給していた経常費補助を全廃し、保護者に対する学費補助に切り替える、というのです。
県は、今回の支援制度について、「国際情勢・政治情勢の不安定さが、母国・民族との関連を想起させ、子ども達の教育の機会に影響を与えかねない。外国人学校に通う子ども達であっても、こうした不安定さの影響を受けることなく、安定的に教育を受ける機会を確保する必要がある」と説明しています。ただ、学費補助は所得で決まるので、学校によっては支給額に差が出てきます。外国人学校の中でも賛否が割れているとのことですが、当然でしょう。
かつて、「核実験」を口実に補助金を止めた黒岩知事の「方針転換」とも取れる今回の支援制度ですが、朝鮮学校差別が重ねられている現状からは、一歩前進と感じます。「国際情勢の不安定を子どもたちに影響させない」という、当たり前の立場を今後も堅持してほしいと思います。
一方、県が新制度を発表した前日、「交付しない」と方針転換したのが、川崎市長でした。福田市長は市議会定例会本会議の場で、補助金を停止する理由を、「県が予算計上を見送っている状況を踏まえ、今年度の補助金の交付は行わない」としたのです。
神奈川では、県に続き横浜市も今年9月に補助金を停止しました。横浜市は、最悪にも補助金交付要綱に「国際情勢に鑑み、補助金を交付することが…趣旨に反すると市長が認めた外国人学校にあっては、補助の対象としない」という文言を加え、朝鮮学校を対象から外す、というあからさまな差別をしたのです。「教育の権利」に基づいて支給される補助金に、こんな「条件」を付した「要綱」は初めてです。横浜市が補助金停止を決め、川崎市がこれに続くなか、神奈川県が長洲一二知事時代に打ち出した「足元の国際化」の基本に立ち返り、神奈川県全般の外国人学校支援をブレなく進めてほしいと切に願います。
神奈川県は外国人と日本市民が「ともに生きる」社会作りを進めてきた伝統ある地域です。川崎市長の「不交付表明」を受け、13日には川崎・おおひん地区の日本市民たちが1207筆の署名を市長宛てに提出、「子どもたちをいじめないで」と訴えました。
川崎の市民たちは、神奈川県、横浜市が補助金停止の決定を下すなか、川崎では「絶対させない」との思いを込め、11月中旬から「2000人署名」を始めていました。
「おおひん地区から、朝鮮学校補助金不支給に反対する2000人署名活動実行委員会」の世話人・関田寛雄さん(85、青山学院大学名誉教授)は、「いかなる国家関係があるとしても、幼い子どもたちには天から与えられた権利がある。それを保障するのが行政の責任者ではないか」と訴えました。関田さんは、1980年代に指紋押捺拒否者を告発しなかった伊藤三郎市長、「川崎市外国人教育基本方針」を作成してきた外国人施策を振り返りながら、「川崎市のヒューマニズムの伝統」を新しい市長にも受け継いでほしいと切願しました。
同じく世話人で桜本一町内会役員の豊田洋次さん(64)は、「(朝鮮学校に)今、通わせている保護者たちの決断をひるませてしまうことを市がしている」、ふれあい館の崔江以子さんは、小学校に通う息子が「川崎の偉い人はどうしていじめをするの」と心を痛めていたことに触れ、「私たちは、朝鮮学校とともに暮らす街でいじめを容認しない」と、引き続き署名を集めていくことを、抗議の思いとともに伝えました。
署名提出後の記者会見には、川崎初級オモニ会の姜琴淑、李善姫副会長らが参加し、「大人は子どもを助けなければいけない。川崎市は人間として道理をまっとうして」(姜さん)と保護者の気持ちを代弁していました。
川崎市長はなぜ、就任早々、朝鮮学校の補助金の不支給を表明したのでしょうか。川崎市で3人の子どもを育ててきた朴京愛さんは、不支給の態度表明に「言葉を失った」といいます。
市長の問答に「朝鮮」と名のつくものには何をしても許される、という意識を感じます。しかし、川崎の市民社会がこれを許すことはない―。日本市民があげた声がきっと届くよう、私も引き続き、神奈川に足を運びます。(瑛)
Unknown
朝鮮学校に対するこうした無意味な「兵糧攻め」の根拠になっているのがいわゆる「民意」ですが、その民意の内実たる一人ひとりの「民」はいったいどれだけ在日朝鮮人の起源について理解しているのか、そして行政はそれを周知させるだけの努力をしてきたのか、自らの胸に手を当てて考えてみるべきなのです。
起源はよく知っています
私は一日本人です。日本人の起源が騎馬民族説であるという江上波夫先生の本は読んでおり、又、帰化人である朝鮮半島からのコリアンの方々が日本に文明や文化をもたらしてくれた事は、小学生の頃から知っています。でも、一部の右翼や在特会や戦中派の右よりの思想を持った人々、例えば石原、橋下といった維新の会のような日本人も居ますが、コリアンの方々と仲良くしたいと思っている日本人だってたくさん居ます。日本人全員が、悪い人々ばかりではありません。くれぐれも誤解をなさらないで下さい。
誤解をさせてしまったようで失礼しました
かんちゃん様
あなたのコメントは私の上のコメントに対する応答と理解致しました。
>日本人全員が、悪い人々ばかりではありません
もちろんその通りです――と言うより、私自身がそのようなわれわれの理解者たる隣近所・知り合いの日本人の方と親しくさせていただいているのですから。
私が先のコメントで指摘した「民」とは、いわば政治的無知・無関心の総体たる「大衆」を指してのものです。個別の市民としての、主権者たる自覚とそれに基づいた主体的選択を放棄した存在と言っていいでしょう。
そしてそこを見透かしたうえで「民意」という言葉を持ち出してくるのが極右政治家(実は彼らもまた無知であり、主体性を放棄しているのですが)である、という構図について批判したのが先のコメントの真意です。
かんちゃんさんのような良心的な方に、いらぬ誤解を与えてしまった自らの舌足らずを深くお詫び致します。今後も在日コリアンという存在に温かいまなざしを向けてくださることを、いち在日として心から願ってやみません。
どうしたら対等に付き合えるでしょうか?
私は、一日本人ですが、朝鮮民主主義国籍の方々とも、大韓民国籍の方々とも、中華人民共和国籍の方々とも、中華民国籍の方々とも、他の様々な国籍の方々とも、対等にお付き合いをしたいと思っております。施しをするというような発想は全く思っていません。どの人も、同じ赤い血の流れている人間では有りませんか。皆で対等にお付き合いをしましょう。そう思っている日本人はたくさんいます。只、オープンにすると、右翼が入り込んでくるのでそれは出来ない。という理由もわかります。右翼の人達の言っている事を聞くと、イデオロギーも無い、只の暴力団です。そういう右翼(暴力団)対策をどうしたらよいか、私たち日本人も考えますので、在日コリアンの方々も、どうしたら右翼(暴力団)を排除できるか、皆でその対策を考えましょう。又、ネトウヨと呼ばれる中学生や高校生対策も何とかしなくてはなりません。私は要介護3の父の介護をしているので、中々外には出られません。どうしたら皆で仲良く対等にお付き合いが出来るか考えましょう。右翼(暴力団)は、日本人全員が嫌っています。この事は、忘れないで下さい。
「右翼」とは何者か
>そういう右翼(暴力団)対策をどうしたらよいか、私たち日本人も考えますので、在日コリアンの方々も、どうしたら右翼(暴力団)を排除できるか、皆でその対策を考えましょう
私たち在日ももちろん、日本人との真の友好関係をいかにして構築するべきかを、数十年にわたって模索してきました。そういう意味ではかんちゃんさんの上記発言に同意致します。
しかし、どうしても私個人としては、ある種の「ひっかかり」も同時に感じざるをえないのです。それは「在日朝鮮人問題とは究極のところ「日本人問題」である」という命題を私が重視しているためでしょう。
あなたはどうやら日本の右翼というものをいわゆる「街宣右翼」や「在特会」のような個々のヤクザやチンピラのような存在とお考えのようですが、日本の右翼とは本質的に「日本国家そのもの」です。上記のような個別の団体は、彼らが必要に応じて利用するために泳がせている「鉄砲玉」にすぎません(「ネトウヨ」もむしろ「いっぱしの社会人」が多いのをご存じですか? ヤフーコメントのfacebookからの投稿を見ると、相当の厚みを持った嫌韓・嫌中層が大人社会で形成されているのが見てとれます)。
一度「日本会議」というワードを検索してみてください。私の言わんとすることの一端が理解できることと思います。
そういう巨大な存在を前に、もとより圧倒的少数者であり、政治的・社会的に何重にも分断されている在日朝鮮人は長くその抑圧と闘ってきました。しかし、当の日本国家の主体=主権者たる国民が覚醒し、在日朝鮮人というマイノリティに関する諸問題を「自らの問題として引き受ける」ことなしには、真に解決へと導くことはできないと思われます。
さらに、日本は国内の少数者を抑圧し帝国時代の歴史を美化し続けることで、海外の「友好国」からもやがて疑念と不信の目を向けられることになるでしょう。よろしければ、以下のURLの記事をご一読ください。そうした予想が決して夢物語の類いでないことがご想像できるかと存じます。
http://www.h-yamaguchi.net/2013/12/nhk-fadf.html
長文が過ぎましたね。以上、失礼致しました。