一年を振り返って
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当ブログで私が担当している金曜日は今回が今年最後のエントリになる。
今年一年を振り返ってみると、世の中でも自分の身の回りでもさまざまな出来事があった。
近年では一年を回顧する際に、自分がやった仕事の成果物(12号分のイオ)、取材ノートやメモのほかに、週に一度のこのブログ、そしてツイッターやフェイスブックなどのSNSの過去ログに目を通している。
先日行われた職場の忘年会では、一年を振り返る恒例の宴席企画として、今年を表す漢字一文字を編集部員がそれぞれ発表した。何と書こうかひとしきり迷ったが、結局、「怒」にした。「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外、地方自治体の補助金打ち切り、ネットのみならず街頭にもあふれるヘイトスピーチ、日本軍「慰安婦」問題をめぐる政治家の暴言、昨日の安倍首相の靖国神社参拝にいたるまで、怒りを掻き立てられる出来事がとくに多い一年だったと感じたからだ。
最も印象に残った取材としては4月末から5月初旬にかけてのジュネーブ出張を挙げたい。社会権規約委員会の日本政府報告書審査に際して、「高校無償化」制度からの除外など日本政府の朝鮮学校に対する差別政策の不当性をアピールする朝鮮学校の保護者代表団に随行してスイス・ジュネーブを訪れた。審査の場は朝鮮学校排除、差別の政策が日本という国のロジックとしてもっとも露骨な形で表れた場となった。普段は冷静な私でも、日本政府代表団の答弁のあまりのひどさに傍聴しながら怒りを抑えることができなかった。一方で、日本国内ではなく海外で民族教育権の問題を取材することで、日本政府の政策の不当性を改めて強く実感することができた。
今年一年を象徴する漢字として「怒」を挙げたが、今後とも不正義に対して怒りを表明すること、それだけにとどまらず、現実変革のための具体的なアクションをさまざまな方法で起こしていくこと、そしてそのような取組みに資する有益な情報を発信していく必要性を痛感している。
余談になるが、同じオフィスで働く朝鮮新報の女性記者Cさんが挙げた今年一年を象徴する漢字は、「受、悟、許、決、思、省」。一つと言ったにもかかわらず、最終的に6個も挙げてきた。それがかえって、彼女のこの一年の「充実」ぶりを物語っているようにも思えた。漢字の意味を説明すると、「受け入れる」「悟る」「許す」「決める」「思いやり」「省みる」ということらしい。
職場では明日が仕事おさめ。今年も残り少なくなりましたが、みなさんよいお年を。来年またお会いしましょう。(相)