「ゼロ・グラビティ」を観て
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明けましておめでとうございます。
みなさん、年末年始の休暇中はどのように過ごされましたか。私は特に遠出することもなく、寝正月で過ごしました(4年連続です)。
ブログで紹介できるような休暇期間中のネタもないので、このたびの新年1回目のエントリでは最近劇場で鑑賞した映画について書きます。はい、話題の作品、「ゼロ・グラビティ」です。ベタですみません。
いやー、すごいものを観ました! すでに話題となって久しい作品なので今さら感はありますが、度肝を抜かれましたね。うまく文章にまとまりません。
もう何というか、とにかくすごいので、ぜひ映画館に足を運んでください。映像がウリの作品なので、鑑賞するなら3D版です。さらに言うなら、通常の3Dではなく、IMAX3Dで観ることをおすすめします。初めは私も、地元・千葉の映画館で通常版(2D)と3D版が上映中だったので3Dで鑑賞しようかと考えていたところ、「観るなら絶対にIMAX3Dだよ」というアドバイスをもらい、元旦に一人で電車に乗って東京都内某所の映画館まで行きました。IMAX3D版の鑑賞券は通常の1800円にプラス400円の2200円だったのですが、追加の出費など問題にならないほどの満足感を与えてくれます。
あらすじはこんな感じ。
地表から60万メートル上空。そこで、誰もが予想しなかった突発事故が発生。スペースシャトルは大破し、船外でのミッション遂行中のメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サントラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)のふたりは、無重力空間〈ゼロ・グラビティ〉に放り出されてしまう。漆黒の宇宙でふたりをつなぐのは、たった1本のロープのみ。残った酸素はあとわずか。地球との交信手段も断たれた絶望的状況下で、ふたりは果たして無事に帰還することが出来るのか…!?
(http://feature.yahoo.co.jp/movies/gravity/)
映画の登場人物はこのストーンとコワルスキーの2人のみ。厳密に言うと3人ですが、もう1人は冒頭ですぐストーリーから退場します。顔すら映りません。地上の管制側のシーンも全くなし(管制官の音声のみ)。舞台はひたすら宇宙空間、ときどき宇宙船内。こんなんで面白いの? ええ、面白いんです。
この作品を「ネタバレ」なしに説明するのは至難のわざなので、以下、「ネタバレ」覚悟でいきます。
まず、オープニングからのけぞること間違いなし。
At 372 miles above the earth, there is nothing to carry sound(地上372マイルでは、音を伝えるものは何もない)
No air pressure(気圧もない)
No oxygen(酸素もない)
Life in space is impossible(宇宙で生命は存続できない)
冒頭に字幕が流れた後、地球を背景にスペースシャトルが徐々に近づいてきて、船外活動中の宇宙飛行士たちが現れます。そして作業中にトラブル発生! 大量のスペース・デブリ(宇宙ゴミ)が猛烈なスピードで飛来してきてシャトルに衝突、大惨事が起こり、ストーン博士が宇宙空間に放り出されてしまいます。ここまでワンカットで見せます。えっ、何この映像、マジですか…。この超長回し映像、時間にして10数分でしょうか(あまり詳しくないので、本当にワンカットなのかどうかわかりませんが、観る側からすればワンカットに見えます)。このシーンだけで「お腹いっぱい」、かなりの満足度です。
そして、ぐるぐると回転しながら遠ざかるストーン博士を映していたカメラが次第に彼女に近づいていき、その後、彼女のヘルメットの中に。ここから映像はストーン博士の視点に変わり、宇宙空間を漂っているような「疑似体験」ができます。広大な宇宙空間にポツンと漂う一人の人間の圧倒的な孤独、絶望、恐怖、次第に酸素が足りなくなって息苦しくなるさまが、スクリーンを超えて客席のこちら側にもビシビシ伝わってきます。
物語の筋は、宇宙空間で次々に襲ってくる危機を乗り越え地球へ生還するというきわめてシンプルな構成。個人的に、この映画のキモはラストシーンだと思います。映画の原題は「gravity」(重力)なのですが、なぜタイトルを「gravity」とつけたのか、印象的なラストシーンでその意味がわかります。私は思わず「うおおおーー!」と心の中で叫んでしまいました。なので、「ゼロ・グラビティ」という邦題には不満ですね。なぜ「ゼロ」をつけるかな~。まあ、ほぼ全編にわたって無重力状態の描写が続くので、「ゼロ・グラビティ」とつけたくなる気持ちはわからなくもないのですが…。
また、この映画には「生」についてのメタファーが随所に散りばめられています。登場人物2人が宇宙空間でロープで繋がっている場面(ヘソの緒)、国際宇宙ステーション内でストーン博士が体を丸める描写(子宮内の胎児)などはすでに多く指摘されていますが、ほかに終盤の一連のシーンにおいてもいくつか見て取れました(私だけ?)。
このまま書き連ねていくと、際限なく話が広がっていくので、このへんで終わります。近々、もう一度劇場で鑑賞するつもりです。未見の方はぜひ一度!宇宙モノのSF映画としては個人的に傑作だと思いました。(相)
「現実世界が舞台のSF映画」といえば
「日刊イオ」で「遊星からの物体X」をオススメするわけにはいかんでしょうから(興味がある人は一度検索してみてください。笑)、名作「コンタクト」についてひとつ語ってみたいと思います。
1997年の作と少し古いのですが、「地球外知的生命体との接触(コンタクト)」がテーマです。アメリカを中心に天文学者たちによって実際に行われている地球外知的生命体の探索活動が背景となっています。
元々は原作となる同名小説があり、これの作者がモノホンの天文学者で名著「コスモス」でも広く世に知られていた故カール・セーガン博士なんです。だから映画でもとってもリアルな研究者の活動ぶりが描かれます。
宇宙のどこかに知的生命体がいることをひたすら信じて、上司から疎まれ予算を削られても研究に打ち込む電波天文学者が主人公(演じるジョディ・フォスターがむちゃくちゃにハマリ役)。
そして彼女の研究チームがある日ついに、宇宙から規則的に送られてくる謎の電波をキャッチするところから、物語が急展開を始めます。この電波はいかなるメッセージなのか、これを送っている存在は何者か――事態はもはやいち研究者の手を離れ、国家の、そして世界の人々の注目を集める一大プロジェクトへと変貌していきます。
監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのロバート・ゼメキスなんですけど、この映画ではものすごく抑制の利いた演出と知的興奮を誘うストーリー展開で、セーガン博士の遺志を伝える「語り部」としての役割に徹しています。2時間半の上映時間もあっという間に感じられます(本作公開当時はまだ映画館が総入替制でなく、劇場で本作を観た私はあまりの面白さにそのまま席を動かず2回目の上映も続けて観ました。笑)。
(相)さんはじめ編集部のみなさん、もし未見でしたら、ぜひレンタルDVD屋さんに直行して迷わず本作を手にしてください。絶対に面白さ保証いたします。