コリアンJリーガーとドリームマッチ・東京中高でふれあいフェスタ
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「コリアンJリーガーとサッカーを!」-2014年12月21日、東京・北区の東京朝鮮中高級学校グラウンドで、Jリーグ選手たちによる「ふれあいサッカーフェスタ」が行われ、約300人でにぎわった。Jリーガーたちの活躍を物語るかのように、岡山、長野など遠方からも訪れる関心の高さだった。
「後輩のサッカー少年たちに夢を」との熱い思いが結実したイベントは、2013年末、各地のJリーグで活躍するプロ選手やコーチたちが集まった食事会がきっかけだった。「後輩たちのために何かしよう」と、今年に入って横浜FCの安英学選手(36)、鄭容臺コーチ(36)らが朝鮮学校出身のサッカーマンに呼びかけ、当日は日本各地からプロ選手14人(名簿は別項)、監督、コーチ、通訳13人、計27人が集まり、手弁当でイベントを作り上げた。
小学生向けのサッカー教室には定員を超える約100人が参加。各地のサッカー教室や強豪チームで教えるコーチや選手たちが2時間にわたってドリブルやパス、シュートを念入りに教えた。
「なんのためのドリブル? サッカーで一番大事なことは、ゴールを守ってゴールを決めること。下を見ないでゴールを目指して!」。FC町田ゼルビア・キャプテンの李漢宰選手(32)は4、5年生を担当し、いつもの覇気あふれる姿で教室を盛りあげていた。
ケガに苦しんでいた頃、度々練習に訪れた東京中高。この日、子どもたちを教える過程で、「少しでも彼らの夢や目標になれる選手になりたい」という思いがわいてきたという。西東京朝鮮第1初中出身の姜成浩選手(27、ツエーゲン金沢)は、その隣で6年生とボールを追いかけていた。「試合で勝ったらジュースおごってやるぞ」と子どもの心をしっかりキャッチ。練習試合中に円陣を組み、取り組む姿も清々しかった。
「シュートの振り分けはどうすればいいの?」「試合で負けない気持ちを作るには?」―2部のトークショーでは、ずらりと並んだ選手たちを前に質問がひっきりなし。実技やトークを交えながらの選手たちに会場は和気藹々の雰囲気に包まれた。子どもたちには全員サイン入りの色紙がプレゼントされ、大事に抱きかかえる姿にも喜びがあふれていた。
�「チュックダンの再来」
Jリーガーたちと東京中高サッカー部とのエキシビションマッチも行われた。プロ選手たちは磨き抜かれたプレーで高校生たちを押し、高校生たちも負けじと食いつき、試合は2-2の引き分けに。プロ志望の梁賢柱さん(高1)は、「プロの選手には気持ちも体もスピードも通じなかった」と実力を見つめつつ、「自分の強みは生かせた」と語った。
会場には、朝鮮学校の子どもはもちろん、日本の学校に通うコリアンの子どもや日本の子どもも多かった。小2の娘と来場した志賀亮介さん(40)は、「こんなに多くの朝鮮学校出身のプロ選手がいるとは知らなかった。素直に驚きでした」と話す。
長野県から息子2人を連れて参加した任剛賢さん(47)は、「日本学校に通っている子どもたちに、選手たちの姿を直に見せたかった。父が在日朝鮮蹴球団にいたので、蹴球団の再来のような興奮を感じる。毎年、できれば地方を回りながらやってほしいですね」と期待をかける。
鄭容臺さんは、「いろんな人たちの協力で成功できた。やっているみんなも楽しそうで、本当によかった。サポートしてくれた人たちの思いを受け止め、来年、再来年と続けてやっていきたい」と意欲を見せた。
朝鮮高校卒のJリーガーが誕生して20数年。この間、朝鮮学校を卒業したサッカーマンたちは、選手、指導者、通訳、マネージャーなどのスタッフとして活躍の場を広げている。朝高初のJリーガーで、現在ガンジュ岩手の監督を務める申在範さん(43)は、イベントを成功させた後輩たちを前に「この集団はすごい可能性を持っている。一致団結して、連携を取りながら、もっともっと夢と希望、新しい発見を与えていこう」と呼びかけていた。(瑛)
※ふれあいサッカーに参加したプロ選手たちは、以下。
安柄俊(川崎フロンターレ)
李栄直(徳島ヴォルティス)
安英学(横浜FC)
黄誠秀(ザスパ草津)
金聖基(水戸ホーリーホック)
李漢宰(町田ゼルビア)
金永基(長野パルセイロ)
高慶汰(長野パルセイロ)
朴一圭(藤枝MYFC)
金弘淵(福島ユナイテッド)
姜成浩(ツエーゲン金沢)
高尚人(FCカンジュ岩手)
洪泰日(FCガンジュ岩手)
李應鉉( FCカンジュ岩手)