京都裁判勝訴に感謝!
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先週、このブログで東京の無償化裁判について記事を書きましたが、朝鮮高校が「無償化」制度からはずされ、この春で5年がたちます。5年というと、当時高校1年だった子は成人になっている。小学生だった子は、高校進学を前にしている。当然、お金がかかる朝鮮高校への進学を諦める子や親御さんも出てきています。では、現場はこのような暗い話ばかりかというと、そうじゃない。
京都朝鮮第1初級学校(当時)の保護者たちが起こし、最高裁で勝訴を勝ち取ったニュースは、朝鮮学校関係者たちを大きく勇気付けています。
ご存知の通り、昨年12月9日、最高裁判所では「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らによるヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)を人種差別と認め、在特会側に計約1226万円の賠償と学校の周辺200メートル以内の街宣活動の差し止めを命じた今年7月の「大阪高裁判決」が確定しました。
裁判を起こした保護者や子どもたちの安堵はいかばかりだったでしょう。本当におつかれさまでした、勇気をありがとう、とお伝えしたいです。
先日、NHKの「クローズアップ現代」が扱った「ヘイトスピーチ」の番組でも、京都第1初級の前で罵声をはく「在特会」の映像が流れていましたが、ヘイトスピーチはまともに目をあてられるものではありません。繊細な子どもたちほど、驚き、そして深い傷を負います。裁判が終わった今、京都では中高生になった彼らの心のケアのため、スクールカウンセラーの配置を進めているそうです。しかし、朝鮮学校は日本の学校のように公費で専門家は派遣されません。ここにも「各種学校の壁」が立ちはだかります。
この間、京都では子どもたちの心に向き合う、尊い実践が生まれました。
それが、裁判支援をする「こるむ」と「こっぽんおり」が作成した子ども向けのパンフレットです。
HPに、その趣旨が以下のように載っていました。
…本件の最大の被害者といえる子どもたちが理解するには、判決文の表現は難解です。本件での「こんなの学校ではない」「スパイの子どもの学校」「朝鮮学校を日本からたたき出せ」など、学校を侮辱される言葉を浴びせられて最も傷ついたのは、心身ともに繊細である子どもたちでしょう。
自らが通う学校が、特にその民族性がゆえに差別攻撃の対象とされ、社会的評価(名誉)が傷つけられたことは、子どもたちの内心に多大な不安を与え、学校における民族的自尊心の醸成の作用も半減させうる脅威となったことは想像に難くありません。こうした影響は、本件学校に通っていた子どもたちに限られません。中高級を含めた全国の朝鮮学校の生徒も同じ思いを抱いているなか、判決文の内容をわかりやすく説明して、こうした不安を軽減する必要があります。
パンフレットは第4弾まで、日本語、朝鮮語の両方で作られ、ダウンロードもできます。
https://drive.google.com/folderview?id=0B60d_nhxt-QfajloR24wNEVHLUk&usp=sharing
中村一成さんが執筆された「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件 <ヘイトクライム>に抗して」(岩波書店)も、お読みいただきたい一冊です。中村さんの本を読んでいると、この裁判をたたかったオモニ、アボジたちの息吹が耳のそばで聞こえてくるようです。「もし、自分の学校に在特会が押し寄せてきたら?」―子どもを守る「覚悟」を教えてくれる本です。
最後にご紹介したいのが、同志社大学の板垣竜太教授がこの裁判の過程で京都地裁に提出された「朝鮮学校への嫌がらせ裁判に対する意見書」。
http://doors.doshisha.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=TB12605649&elmid=Body&lfname=031001050005.pdf
朝鮮学校については、政府のキャンペーンが功を奏して、日本社会ではマイナスなイメージが焼きついてしまいました。日本政府はマックワードのように、朝鮮学校と朝鮮民主主義人民共和国の関係について、「問題だ」と騒ぎたてていますが、なぜ、祖国を遠く離れた在日朝鮮人が朝鮮半島とつながりを持とうとしたのか、日本植民地期の抗日闘争をはじめ、朝鮮の近代史をなぜ在日朝鮮人が主体的に学ぶ必要があるのか、について明快に綴っておられます。
板垣さんは、朝鮮本国とも、また日本の公教育とも違う、「朝鮮学校の民族教育のオリジナリティ」について、その歴史や保護者の意識、また朝鮮や日本とのカリキュラムを比較しながら論証されています。「反日教育をしている」という根拠のないレッテルについても、朝鮮学校で「日本」がどう教えられているかについて、教科書や教育実践を丁寧に拾い上げています。
朝鮮学校の理解には「歴史」が不可欠と感じてきましたが、板垣さんが朝鮮近現代史の専門家ということが、その理解に深みをもたせていることがよくわかります。頭がすっきりと整理されるので、ぜひご一読ください。
それにしても、イメージとは、なかなか崩しがたいものです。
それが一面的な見方で、ましてや間違った事実によるものだと本当にやっかいです。
そのイメージを壊していくには、多くの日本市民に等身大のウリハッキョを感じ、自分の言葉で語ってもらうしかない―。その数が飛躍的に増える時に、「無償化」のようなくだらない差別がなくなるのではないかと痛感する毎日です。
総じて、京都の裁判は私にたくさんのことを気づかせ、教えてくれました。
2月28日の下記のシンポジウムに、板垣さんや、京都裁判を闘った保護者の金尚均・龍谷大学教授が登壇されるので今から楽しみにしています。(瑛)
在特会め
在特会の前会長は、極右の橋下徹大阪市長とまで、喧嘩になったことは、テレビ報道などで皆知っている事だと思います。在特会はイデオロギーも何もない単なる暴力団です。この事を世界中に発信して、こいつらがファシストだということを世界中に知らしませるべきです。皆で団結して、在特会を世界中から追放させよう。